本書は中国の概念史研究の成果をお届けするもので、「キーワードで読む中国古典シリーズ」の第一巻である。天・化・時の三つの概念に焦点を当てることで、中国の宇宙論的想像力であるコスモロギアを概観する。
なお、本シリーズは、東洋文化研究所の班研究「中国学における概念マップの再構築」の成果でもある。
総説 (中島隆博) | |
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1 天、化、時 | |
2 各章概観 | |
第一章 天について (中島隆博) | |
1 | 孔子──天を怨まず |
2 | 墨子──天の欲することをなす |
3 | 孟子──人から天への通路 |
4 | 荘子──人は天を損なう |
5 | 荀子──天の領分、人の領分 |
6 | 董仲舒──天人合一 |
7 | 王充──無為の天と有為の人 |
8 | 唐代の天論──天が乱れる |
9 | 宋代の天論──天人相関の回復 |
10 | 明代の天論──理としての天を越えるもの |
11 | 清代の天論──理としての天への批判 |
12 | 近代の天──西洋的普遍に直面して |
13 | 現代の天──天下という中国的普遍 |
第二章 化について (本間次彦) | |
1 | 生成変化する世界と『易』 |
2 | 乾坤と易簡──『易』繋辞上伝第一章 |
3 | 無為と『易』──鄭玄 |
4 | 天地と三となる──『中庸』からの道 |
5 | 「天地の和」としての楽──『礼記』楽記 |
6 | 風を移し俗を易える──楽の効用 |
7 | 生成変化する世界を別様に表現する──『易』繋辞上伝第五章 |
8 | 陰陽と道──朱子・王夫之・戴震 |
9 | 日新と生生──張載 |
10 | 日新と生生、そして、鬼神──朱子・王夫之 |
11 | 修己から治人へ──教化の新たな構想 |
12 | 万物一体の仁──ドジョウとウナギの関係論 |
13 | 近代以降の新展開 |
14 | 『荘子』からの出発法 |
15 | 身体の操作的構築 |
第三章 時について (林文孝) | |
1 |
「時」は「時間の流れ」を意味しない 1 「時に習う」とはいつ習うのか? 2 『易』の時 3 「時中」、「聖の時なる者」 |
2 |
「時間性」を表す概念は「道」ではないか? 1 『老子』の「道」 2 朱熹の「川上の嘆」解釈と「道」の姿 3 「消息」 |
3 |
終末論について 1 『皇極経世書』 2 『太平経』 |
4 |
「古・今」、「過去・現在・未来」 1 「古」と「今」 2 中国における「過去・現在・未来」 |
余説 | |
文化本質主義を越えて (中島隆博) | |
本文の余白に/から (本間次彦) | |
天と化についてのコメント (林文孝) |
中島 隆博
【編】+本間次彦+林文孝
『コスモロギア』
法政大学出版局, 218ページ
2015年9月
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