『世界の岐路をよみとく基礎概念 比較政治学と国際政治学への誘い』は、現代の政治情勢を体系的に分析するために編まれました。国内外の政治問題—民主主義の後退や暴力・国際紛争の発生、権威主義の隆盛、国際秩序の変化など—を背景に、比較政治学と国際政治学の重要な概念を深く掘り下げています。各章では、概念の定義から歴史的展開、最新の学問的議論までを網羅し、現代政治の複雑な問題に挑むための枠組みを提供します。さらに、各章末には豊富な文献案内があり、学部上級生や大学院生、市民が、さらに研究を発展させるための参考資料を提供します。方法論についても、政治データ分析の使い方、質的分析への考え方を議論しています。研究の深化を目指す読者にとって、理論と実証を繋げる実践的なガイドブックとしても活用できる一冊です。
はしがき | |
第Ⅰ部 | 国 家 |
第1章 | 国民国家と暴力……………中溝和弥 |
はじめに | |
第1節 | 国民国家と暴力――概念と問題群 |
第2節 | 三つの問題群――近代国家形成・国民形成・対外戦争 |
第3節 | なぜ人を殺すのか |
おわりに | |
第2章 | ナショナリズムとエスニシティ……………林 泉忠 |
はじめに | |
第1節 | ナショナリズム・エスニシティとは何か |
第2節 | ナショナリズム諸議論の展開 |
第3節 | 「辺境東アジア」の事例検証 |
おわりに | |
第Ⅱ部 | 政治体制 |
第3章 | 民主主義……………粕谷祐子 |
はじめに | |
第1節 | 民主主義の捉え方 |
第2節 | 民主主義体制の測り方 |
第3節 | 民主主義の数え方 |
おわりに | |
第4章 | 権威主義……………今村祥子 |
はじめに | |
第1節 | 権威主義の概念 |
第2節 | 議論の展開 |
第3節 | 類型化と連続性の発見 |
おわりに | |
第5章 | 選 挙……………松本朋子 |
はじめに | |
第1節 | 選挙に何が期待できるのか |
第2節 | なぜ有権者の選好に沿わない選挙結果となるのか |
第3節 | 選挙の代表性を高めるために |
おわりに | |
第6章 | 政治体制と経済成長……………中村正志 |
はじめに | |
第1節 | 経済成長に有利なのは民主主義か権威主義か |
第2節 | 「中所得国の罠」の政治経済学 |
第3節 | マレーシアとタイのケーススタディ |
おわりに | |
第Ⅲ部 | 国際社会 |
第7章 | 国際秩序……………佐橋 亮 |
はじめに | |
第1節 | 国際秩序をめぐる議論 |
第2節 | 第二次世界大戦後の国際秩序 |
第3節 | 冷戦終結とグローバリゼーション |
第4節 | 現代の世界政治 |
おわりに――世界政治の展望と構想 | |
第8章 | 国際紛争……………片桐 梓 |
はじめに | |
第1節 | 基本概念の整理 |
第2節 | 国際紛争をめぐる学説の展開 |
第3節 | 国際紛争学の残された課題 |
おわりに | |
第9章 | 同 盟……………玉置敦彦 |
はじめに――同盟という難問 | |
第1節 | 同盟とは何か?――概念の定義 |
第2節 | 非対称同盟という難問 |
第3節 | 同盟政治論の現在――事例と史料に基づく理論的発展の模索 |
おわりに | |
第10章 | 核軍縮……………向 和歌奈 |
はじめに | |
第1節 | 軍縮の概念と考え方の変容 |
第2節 | 核軍縮をめぐる論点の整理 |
第3節 | 核軍縮から廃絶へ――前進の可能性と限界 |
おわりに | |
第Ⅳ部 | 方 法 |
第11章 | ベイズ統計モデルを用いた政治データ分析……………白糸裕輝 |
はじめに | |
第1節 | ベイズ統計モデル入門――多数の世論調査を集約して選挙結果を予測する |
第2節 | ベイズ測定モデル――多数の観察値から概念を抽出する |
第12章 | 政治学における質的分析……………向山直佑 |
はじめに | |
第1節 | 「自己防衛」としての質的方法論 |
第2節 | 方法論者の独り歩き |
第3節 | 質的研究の強み |
おわりに | |
あとがき | |
索 引 | |
編者・執筆者紹介 |
中溝和弥 編, 佐橋亮 編
『世界の岐路をよみとく基礎概念 比較政治学と国際政治学への誘い』
岩波書店, 358 pages, 2024.6, ISBN: 978-4-0006-1644-7