書籍紹介

中島隆博 編 『人の資本主義』(東京大学出版会)

編者による紹介

 『人の資本主義』は気鋭の研究者たちと一緒に資本主義の越し方行く末を考えたものです。モノの資本主義からコトの資本主義そして人の資本主義へという変貌を念頭に置きながら、人の生を豊かにするために資本主義を鍛え直すヒントがいくつも込められています。それはわたしたちがいかなる社会を望むのかに深く関わるもので、格差や環境破壊を放置しない方向を目指しています。各論考の後に座談会での議論を収録しています。生き生きしたやりとりもお楽しみいただければと思います。

目次

はじめに――人の資本主義(中島隆博)
第I部 資本主義の問い直し方
1章 人の資本主義の意味と可能性についての覚え書き(小野塚知二)
 討議 資本主義の性格
2章 人の資本主義への視点(広井良典)
 討議 新たな再分配の可能性
3章 歴史性・普遍性・異質性から見た経済(安田洋祐)
 討議 経済成長と信用
第II部 ディスコースの変容と資本主義
4章 歴史的ディスコースにおける資本主義(山下範久)
 討議 資本主義の言説空間
5章 なぜ利己的個人か(野原慎司)
 討議 想像力という問題
6章 国家と資本主義(國分功一郎)
 討議 国家という存在と資本主義
7章 共生社会と資本主義(堂目卓生)
 討議 「命」への共感
8章 欲望と社会をめぐるパラドックスへの一考察(丸山俊一)
 討議 人間の主体性をどう解き直すか
第III部 持続可能な社会の構築と資本主義
9章 脱成長そして地球の有限性の中の資本主義(広井良典)
 討議 定常経済の豊かな可能性
10章 ポスト資本主義コミュニティ経済はいかにして可能か?
   ――脱成長論の背景・現状・課題(中野佳裕)
 討議 地域主義の限界と可能性
11章 人口減少社会で気づく持続可能性の経済学
   ――フロー管理から「手入れ」によるストック管理へ(倉阪秀史)
 討議 資本基盤と手入れ
あとがき(中島隆博)

情報

中島隆博 編
『人の資本主義』
東京大学出版会, 400ページ 2021年11月 ISBN: 978-4-13-013098-1

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