自閉少女から東大教授へ
その壮絶な記録
・小学校時代、担任教師や級友たちのいじめ。
・院生時代のアカデミック・ハラスメント
・30歳過ぎまで、出しても出しても送り返されてくる大学への公募書類。その数、30余。
そんな絶望の日々、心酔し、狂い死ぬほど笑ったナンセンスソング、クレイジー・キャッ ツの「ホンダラ行進曲」。
・学会でタブーとされていた韓国民主化運動における死者に注目した独創的な博士論文が評価され、大学から助教授就任の打診をうける。
・自閉症者としての著者自身の生と切り結びながら、死者やマイノリティへの省察をすすめる。
既存の構造と構造のはざまの疎外された「余白」を源泉として、価値逆転的に展開される独創的な眺望。
・自閉症者にかぎらず、さまざまなマイノリティにも開かれる瞠目すべき実践と思索。
序 別府晴海 |
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はじめに──偶然性を生きる |
Ⅰ 「自閉的な知」の獲得と構造主義 |
一章 偶然にも最悪な自閉少女 |
1 ジャングルのような学校で |
2 他者化される二重の自己 |
3 「朝鮮人の李さん」の話 |
4 「壁」の向こうの真理 |
5 自閉症者と構造主義 |
二章 自閉症者と通過儀礼 |
1 問いを立てて、答えを生きる |
2 テンプル・グランディンの「扉」、エリック・ホッファーの「道」 |
3 イニシエーションと境界性 |
三章 「自己スティグマ化」の過程を生きる |
1 生きることの哀しみ |
2 涙のなかの「戦略的な」笑い |
3 クレイジー・キャッツの「遊び」 |
4 韓国という「まじめ」な社会で |
5 「愚」を悟って「遇」を得る |
四章 与えられる「構造化」/フィードバックされる「構造化」 |
1 「遊び」と儀礼 |
2 手動で「構造化」を編み出すこと |
3 「自閉的な知」の階梯へ |
Ⅱ 死者の「かそけきことば」を聴く |
五章 死者たちの追憶 |
1 記憶の哀しみ |
2 呪詛へのおびえ |
3 死から生が峻拒されるとき |
4 死者のまなざし |
六章 死者の声をたずねて |
1 恐山へ |
2 死者の声を聴く |
3 「あなたはイタコを信じますか?」 |
七章 「死の壁」を超える |
1 「死者と生者の市」 |
2 五年後のホトケグチ |
3 去りゆくものと、生まれくるものと |
4 今日に始まる死ではなし |
Ⅲ 東アジアの「余白」を生きる |
八章 ふたつのハラスメント体験から |
1 植民地化されつづける魂 |
2 分断状況という裂け目に立たされて |
九章 東アジアの「余白」に立つ |
1 「余白」の淵を垣間見て |
2 世界構造の知覚をめぐる弁証法と「魂の植民地化」 |
3 自閉症化する日本社会 |
十章 死者とともなる社会 |
1 死者と生者の交わる場所から |
2 憑依する「烈士」 |
おわりに──竹下文雄さんに捧げる |
真鍋祐子 著 『自閉症者の魂の軌跡~東アジアの「余白」を生きる (魂の脱植民地化 6) 』
青灯社, 336ページ 2014年12月 ISBN: 978-4862280770
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