今日、スリランカや東南アジア大陸部(ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア)に広まる上座部仏教は、もともと上座部大寺派というスリランカにおける仏教の一派から展開しました。本書は、五世紀前半、スリランカで活躍し、上座部大寺派で最も権威ある学匠として仰がれたブッダゴーサの作品を古層(先行資料からの引用)と新層(編集者の付加・改変)に分析することによって、上座部大寺派が他派とは異なる思想体系を構築し、構成と範囲の定まった正典を確立する過程を考察したものです。日本南アジア学会賞受賞作品。
序論 | |
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第1篇 | 成仏伝承の展開(上座部大寺派の成仏伝承、仏伝作品の成仏伝承、ブッダゴーサの縁起解釈) |
第2篇 | 修行体系の再構築(修行論の系譜、『清浄道論』の編集方法、ブッダゴーサの思想史的位置) |
第3篇 | パーリ正典の確立(パーリ正典の成立過程、北伝四阿含の改編、ブッタゴーサの仏説論) |
結論 |