News

教員の著作が刊行されました 
真鍋祐子 監修『越境のアーティスト 富山妙子』(皓星社)

著者からの紹介

  本書は画家・富山妙子(1921~2021年)を取り上げた初の論考集である。旧満洲で「植民者の子」としてすごした自覚をもとに、世界を遍歴しながらポストコロニアル批判とフェミニズムを軸に作家活動を展開した富山の思想と画業への再評価の動きが広がっている。2024年の横浜トリエンナーレ、現在開催中の横浜美術館リニューアルオープン記念展「いつもとなりにいるから―日本と韓国、アートの80年」への出展をはじめ、2025年末にはタイとアメリカで展示が行われ、2026年以降もすでにヨーロッパ数か国への出展が決まっている。また富山たちが制作した二本の映画-「自由光州-1980年5月」(1981年)、「はじけ鳳仙花―わが筑豊わが朝鮮」(1984年)-がHDデジタルリマスター版で復刻され、2025年春より東京、大阪などで一般公開された。そうした動きの先鞭をつけたのが、本書のもととなった我々の共同研究にあったと自負している。
  監修者は2010年代半ばに富山から所蔵資料の寄贈を受けたのを機に研究プロジェクトを立ち上げ、2017年度からは国内外の10名余りの研究者を束ねて科研費による共同研究を推進した。ワールドワイドに活動した富山の思想と芸術はとうてい美術史の枠に収まりきれるものではなく、その80年にわたる作家活動の全貌を腑分けするには、社会学、民俗学、メディア研究など、多角的なアプローチが求められる。また富山といえば光州民主化運動や朝鮮人強制連行、「慰安婦」を扱った作品のイメージが強いが、その活動の原点が60年代初頭のラテンアメリカでの体験にあったことは意外と知られていない。そのため、さまざまな地域の専門家を集めての共同研究となった。
  本書では、富山の思想と芸術を網羅的に論じ、加えてそれが世界にもたらした歴史的動態についても紐解いている。また富山妙子研究の基本テキストとして、画家の年譜と著作一覧も収録した。
  なお、版元の「note・皓星社」にて、4人の執筆者が本書の趣旨をかみ砕いて解説するミニ連載「富山妙子に出会う」を担当したので、参照されたい。

 

【連載:富山妙子に出会う】第0回「富山妙子を知るための7つのキーワード」(真鍋祐子、古川美佳、小林宏道)https://note.com/koseisha/n/n312492c833c7

【連載:富山妙子に出会う】第1回(前編)「光州のピエタ」―〈孤独の光州〉が世界とつながる(真鍋祐子)https://note.com/koseisha/n/n0d7cca514f6a

【連載:富山妙子に出会う】第1回(後編)「政治家たち・日米韓」―〈光州〉から照射された世界像(真鍋祐子)https://note.com/koseisha/n/n4709c4c022cd

【連載:富山妙子に出会う】第2回「ガルンガンの祭りの夜」―植民地女性の身体への共振共鳴(古川美佳)https://note.com/koseisha/n/n1386bd8cb6e2

【連載:富山妙子に出会う】第3回(前編)「海からの黙示―津波」―人智を越えた惨禍と生命への眼差し(小林宏道)https://note.com/koseisha/n/n61666e036b02

 

【連載:富山妙子に出会う】第3回(後編)「終りの風景 崩れゆくもの」―時空を越えた創作の連環へ(小林宏道)https://note.com/koseisha/n/n7f4cba24f64f

 

【連載:富山妙子に出会う】第4回「天馳ける者・馬王堆による」―画家の心を貫いた鮮烈な朱の色(金子毅)https://note.com/koseisha/n/n3ff679324a8d




著者・訳者紹介や目次等、詳細情報は教員の著作コーナーに掲載した記事をご覧ください。


東洋文化研究所教員の著作



登録種別:研究活動記録
登録日時:WedFeb1813:33:112026
登録者 :真鍋・野久保・多田・廣田
掲載期間:20260218 - 20260518
当日期間:20260220 - 20260220