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第三回・東文研/国際学術セミナー「時空をかける少女 富山妙子を撮る 〜岡村淳監督の新作上映とトークライブ〜」のお知らせ

ご案内

前回(2018年11月10日)に引き続き、ブラジル在住の映像作家・岡村淳監督をお招きし、新作の上映とトークライブを開催します。
  岡村監督は2013年に富山妙子に取材し、未公開の証言を引き出した貴重な映像を所蔵しています。それが機縁で本科研の協力者として、昨年の当セミナーで富山妙子の「今」を切り取った新作短編「狐とリハビリ」を初披露することとなりました。その後も取材を重ねるなかで、シリーズ「富山妙子素描」「富山妙子 自作を絵解く」など、約15本(編集中のものを含む)の作品を制作しています。このたびのセミナーでは、3本の新作を上映いたします。
  富山妙子の創作の原点は1970年代の韓国にあり、特に1980年5月の光州事件を描いた版画連作は、日韓連帯運動を通じて光州での出来事を日本市民に広く伝えました。また、ドイツ等の第三国を経由してひそかに韓国に持ち込まれ、情報統制下で孤立を余儀なくされていた民主化運動勢力を励ましたともいわれています。2018年に日本公開された映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」で、私たちは光州の惨状を世界に伝えたニュースメディアの役割に瞠目させられました。一方、富山もまた版画というメディアを通じて、韓国の民主化に大きく寄与しました。
  今回は、富山妙子が自身の作品を絵解く「光州事件発掘・三部作」を中心として、光州版画へと至る画家の旅と魂の軌跡を1960年代のメキシコ、1970年代の韓国へと遡ります。「ラテンアメリカとの出会い 第一部 種まく画家 第二部 メキシコのいのり」(48分)について、岡村監督は以下のようなメッセージを寄せています。
 "「ラテンアメリカとの出会い」では富山さんの炭鉱→中南米→韓国という流れも浮かび上がり、「越境する画家」にもふさわしい一編になりそうで、僕はこのなかで、イエスの道を行く人、としての富山妙子をとらえることができたようにも感じています。”
  あわせて、初めて韓国の土を踏んだ画家の目に触れた1970年代初めの風景、庶民たちの暮らしぶりを生き生きと描いたスケッチ画をもとに編集された小品「1970-73 韓国 富山妙子」をお送りします。


日時: 2019年11月30日 (土) 13:00~17:00(開場:12:45)

場所: 東京大学東洋文化研究所 大会議室(3階)

プログラム:
 12:45 開場
 13:00~13:10 開会挨拶(真鍋祐子)
 13:10~14:00 「光州事件発掘・三部作」(38分)上映後、休憩
 14:00~15:45 「ラテンアメリカとの出会い 第一部 種まく画家 第二部 メキシコのいのり」(48分)
 「1970-73 韓国 富山妙子」(6分)の上映と岡村監督トークライブ
 (*上映の順番が入れ替わる場合もあります。)
 15:45~16:00 休憩
 16:00~17:00 フリーディスカッション

* 岡村淳監督プロフィール
  記録映像作家。在ブラジル。1958年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒(縄文文化研究)。1982年、日本映像記録センター入社。「すばらしい世界旅行」等の番組ディレクターを務める。1987年、フリーとなりブラジルに移住。小型ビデオカメラによる単独取材と自主制作を継続中。
 著書に『忘れられない日本人移民 ブラジルに渡った記録映像作家の旅』(「港の人」)がある。

主催:「富山妙子の芸術と思想」研究会(旧「富山妙子コレクション」研究会)、科学研究費・挑戦的研究(開拓)「越境する画家、越境する作品世界―富山妙子の軌跡と芸術をめぐる歴史社会学的研究」(課題番号17H06180)

担当:真鍋



登録種別:研究会関連
登録日時:TueNov1210:55:502019
登録者 :真鍋・藤岡
掲載期間:20191112 - 20191130
当日期間:20191130 - 20191130