本書は危機の時代における批判(クリティーク)の可能性を探究したものである。全体は四部に分かれている。第一部「近現代における哲学に批判」では、主権や民主主義、正統性や憲法といった諸概念が、沖縄や日本そして中国というトポスから考察される。第二部「近代日本における哲学の批判」では、近代日本においてマルクス主義に関連した思想家たち(三木清、梅本克己、廣松渉)の批判性が検証される。第三部「中国における歴史の批判」では、中国の歴史意識に浸透する直筆や統への欲望そして複数性への開けが論じられる。第四部「東アジアにおける表象の批判」では、表象文化論の観点から中国と西洋の間で美学や芸術そして映画がどのように論じられるのかを試みた。
危機を転機あるいは好機に変えるためには、新たな想像力が必要だが、それを本書で取り上げた諸概念や思想家から汲み取っていただければ幸いである。
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