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教員の著作が刊行されました 小浜 正子・板橋 暁子 編
『東アジアの家族とセクシュアリティ――規範と逸脱』(京都大学学術出版会)

編著者による紹介

 本書は歴史学・社会学・文学など多岐にわたるフィールドの研究者による、 東アジアのさまざまな時代・地域における「家族」と「性」のありかたをめぐる論考を収めた論文集である。「規範と逸脱」という副題のとおり、それぞれの社会の規範およびそこから逸脱する実態をめぐって交わされてきた議論・言説を腑分けすることが、本書各論にある程度共通してみられる方向性であるといえる。
 本書のもうひとつの特徴は構成にある。第I部「セクシュアリティ」は東アジア各地で現在も進行している極めて現代的な課題、とりわけ性的マイノリティと関連する状況を扱い、第II部「家族」は前近代中国~新中国草創期を舞台としていかなる家族規範・性規範が形成され時に再編されてきたかが論じられる。これらI部・II部をつなぐConnecting Sectionは、生殖補助医療というやはり現代的なテーマを軸に据えながらも、アジアにおけるその運用実態には古くからの社会規範、家族と性をめぐる伝統的価値観の影響が少なからず及んでいることを明らかにする。各所に配置されたコラムの内容は多様であるが、映像制作や年中行事、近代都市などの異なる切り口から、それぞれの状況において男女に課されていた役割や抑圧を浮かび上がらせる。
 家族と性を規定する枠組み自体の当否が問われている昨今の潮流を背景として、本書が多くの方に届き、新たな議論を喚起することを願う。


著者・訳者紹介や目次等、詳細情報は教員の著作コーナーに掲載した記事をご覧ください



登録種別:研究活動記録
登録日時:ThuMar1010:15:392022
登録者 :板橋・田川・野久保・廣田
掲載期間:20220311 - 20231231
当日期間:20220310 - 20220310