外部資金による研究

文部科学省・日本学術振興会科学研究費による研究調査

当研究所の教員が研究代表者を務める文部科学省・日本学術振興会科学研究費研究課題の一覧です。

 


森本 一夫
基盤研究(B)
ムハンマド一族をめぐる諸言説に関する研究:イスラーム史研究の革新をめざして(2019~2022年度)

 概 要 

研究分担者
新井和広,河原弥生
研究の目的
 本研究は、ムハンマド一族の地位と役割に関するムスリム諸言説(一族言説)の解明を直接的な目的とするが(目的1)、以下の二つの目的も併せ持つ。(目的2)ムハンマド一族と彼らの血統という主題は、イスラーム(史)研究で議論されてきた様々な主題(例:王権論、聖者崇敬、宗派間関係)と深く結びついている。本研究は、所与とされてきた諸種の概念や解釈に新たな角度から光をあて、イスラーム(史)研究全体に革新をもたらす。(目的3)イスラーム教の名のもとで展開された一族言説を具体的な社会的契機との関係のもとで解明する本研究は、まず「イスラーム」という実体を想定し、それでムスリム諸社会の動きを説明しようとする傾向を持ってきた日本のイスラーム(史)研究に対し、イスラーム教を「普通の宗教」と捉えることの重要性を示す。本研究は、イスラーム(史)研究を、イスラーム特殊論とは無縁な、より開いたものとしていくことも目的とする。



 


黒田 明伸
基盤研究(B)
世界史における交換の多様性と貨幣の多元性についての国際共同研究(2019~2022年度)

 概 要 

研究分担者
なし
研究の目的
 貨幣現象を論じるとき「悪貨が良貨を駆逐する」というような貨幣間の代替性を前提にした議論がなされやすい。しかし人類史全体においては複数の貨幣が機能的分業をもって併存する貨幣間の補完性を示す現象の方が多数であった。貨幣の多元性は交換の多様性に由来する。交換にあった手段を多様に組み合わせて各社会は交易を成り立たせてきた。その組み合わせが社会ごとにどのように違ったかを分析し、そうした相違が世界全体の変化とどう相関してきたか、を明らかにする。共同研究を通して、現行の社会科学がいわば与件としている一国一通貨制度が、人類史においてはむしろ特異な近代の所産であることが詳らかになり、ひいては望ましい貨幣システムを構想するための基礎となる視角を提供することになる。



 


秋葉 淳
基盤研究(B)
オスマン帝国における社会階層とジェンダーに関する国際共同研究 (2020~2023年度)

 概 要 

研究分担者
川本智史,小笠原弘幸,松尾有里子,澤井一彰
研究の目的
 本研究は、17世紀以降のオスマン帝国社会の変容を社会階層とジェンダーという視点から明らかにすることを目的とする。すなわち、オスマン帝国社会を構成するさまざまな階層、社会集団の特質や相対的位置付け、それらの変化を分析することにより、オスマン社会の階層構造とその変容を把握することを課題とする。その目的のために、米国及びトルコの研究者と連携して行う国際共同研究を展開する。具体的には、(1)特定の社会集団の研究、(2)法・社会秩序とジェンダー、(3)文化と階層・ジェンダー、(4)構築される階層・ジェンダーという4つのアプローチから実証的研究を行い、それを基礎として、オスマン帝国史研究に新しい解釈枠組みを提供することをめざす。



 


佐藤 仁
基盤研究(B)
アジア・アフリカの開発学ー日本の開発協力経験に基づくフィールドからの体系化(2020~2022年度)

 概 要 

研究分担者
峯陽一,高橋基樹,黒田一雄
研究の目的
 本研究では ODAの質的変化と受け手による評価を中心に20~30年のスパンで検討し,次の3つの視角から「ODAの質を決定する地域的条件」を明らかにする。第一は援助案件の超長期的評価である。第二は「受け手目線」の徹底である。これまで書かれてきたODA史のほとんどが,援助業界の潮流を反映した「送り手目線」で書かれていることを考えると「受け手目線」を全面に出すことは本研究の大きな特徴になる。第三は援助が行われた当時の文脈を地域的な多様性からくみ上げることである。本研究においては,日本の援助が1960年代から主な対象としてきたアジアと2000年代以降に新たな援助対象として大きな比重を占めるようになったアフリカを両にらみにしながら,それぞれの地域の人々からみた開発協力の歴史を明らかにし, そこから地域研究に立脚した「アジア・アフリカの開発学」を構想する。



 


青山 和佳
基盤研究(B)
人間回復と地域社会再生のための有機農業:国際比較研究 (2021~2024年度)

 概 要 

研究分担者
受田宏之, 中西徹, 清水展
研究の目的
 本研究では、有機農業が、発展途上国の低所得層の生存戦略として社会的意義を有するのみならず、文化的側面においても大きな価値を有し、人間回復と地域社会の再生に寄与することを、比較分析を通じてあきらかにする。大正として、歴史的にアメリカとの密接な関係(隣国、植民地、占領支配)をとおしてグローバル化の影響を直接に受けてきた国である、フィリピン、日本およびメキシコを取り上げる。それらの3国で小地域社会における社会関係を基礎とする「提携」と「参加型有機認証制度」という二つのシステムの展開に着目し、未来への可能性を実証的に探る。



 


中島 隆博
基盤研究 (B)
「一般リズム学」を地平とする統合的思想史の構築 (2022~2025年度)

 概 要 

研究分担者
沖本 幸子, 田中 純, 竹峰 義和, 朝倉 友海, 乗松 亨平, 長木 誠司, 中井 悠, 加治屋 健司, 森元 庸介, カペル マチュー, 桑田 光平, 星野 太
研究の目的
 リズムの概念を音楽学、あるいはダンスを中心とするパフォーマンス研究に限定することなく、語源となるギリシア語「リュトモス(rhythmos)」の多義性を意識しながら、バンヴェニストによる言語学的研究、メショニックによる文学的研究、マルディネによる哲学的研究などの理論的成果を踏まえ、時間と空間、言葉とイメージ、生物と無生物といった多領域にまたがる広汎な領域を貫く〈分節化の原理〉として再定義しつつ、欧米圏のみならず日本を含めた東アジア圏を視野に収め、1) 絵画、写真、映画などの造形・映像領域、ならびに文学を含めた一般芸術学の構築、2) とりわけ習慣や秩序をインターフェイスとした個と共同体の相互作用的な編成メカニズムの解明を主たる柱としつつ、思想史・文化史の刷新に寄与しうる視座の獲得を目的とする。



 


桝屋 友子
基盤研究 (B)
大原美術館フーケ・コレクション調査に基づくイスラーム期のエジプト陶器通史の構築 (2022~2024年度)

 概 要 

研究分担者
菊池 百里子, 神田 惟
研究の目的
 エジプトはイスラーム時代の陶器生産の重要な中心地であり、上質の彩画をもつラスター彩陶器の生産やイスラーム陶器に大変革をもたらしたフリット胎土の発明などで知られる。現在に至るまでエジプト陶器史の研究は専ら現カイロ市南部のフスタート地域から出土した陶片の研究に依拠しており、多くが小片であるが故に彩画や銘文の分析など美術史学的研究には限りがあった。ところが岡山県倉敷市の大原美術館の所蔵するフーケ・コレクションは、19世紀末にフランス人医師フーケがフスタートで採集した陶片約400点を含み、ごく初期の採集であるため、大型陶片が多く、状態も良好であり、美術史資料としての研究が可能である。これらの陶片を地域、時代、技法、モチーフに基づいて詳しく分類・分析・考察することによって、これまでなされてこなかったエジプトにおけるイスラーム陶器通史の構築を美術史の立場から提示し、国際的な学術貢献を果たす。



 


藏本 龍介
基盤研究(B)
聖典宗教の人類学:教義のエージェンシーに注目して (2022~2025年度)

 概 要 

研究分担者
高野 さやか, 岡部 真由美, 中尾 世治, 石森 大知, 門田 岳久, 金子 亜美
研究の目的
 本研究では、「(聖典)宗教」を「社会」の想像/創造を可能にする「教義」、「社会」を「教義」の探究を通じて結びついたヒト・モノのネットワークと定義する。こうした方法論的視点から本研究では、仏教、キリスト教、イスラム教および「聖典化」した民間伝承を事例として、「宗教」と「社会」の相互構成的プロセスを、現地調査を通じて民族誌的・歴史的に明らかにする。同時に、その成果を相互に比較検討することによって、「聖典」をもつということがこのプロセスをどのように特徴づけているかという問題について、より一般的な答えを提示する。こうした作業を通じて、仏教・キリスト教・イスラム教に関する学術的研究だけでなく、人類学・宗教学一般に対する理論的貢献を目指す。



 


菅 豊
基盤研究 (B)
ヴァナキュラー概念を用いた文化研究の視座の構築―民俗学的転回のために― (2022~2024年度)

 概 要 

研究分担者
西村 明, 塚原 伸治, 川田 牧人, 宮内 泰介, 俵木 悟, 加藤 幸治, 島村 恭則, 河野 正治, 松岡 薫
研究の目的
 現在、民俗学は、歴史性、継承性のある「伝統」文化を解釈するだけではなく、日常生活に立ち現れる同時代的な文化の諸現象をも含んで考究する視角を獲得した。その視角を支える重要概念が「ヴァナキュラー(vernacular)」である。ヴァナキュラー文化には、無名の人びとが生きるなかで周りにあるものを巧く「使い回し」、「なんとかやっていく」生活の技芸と知識、創造力、そして情意が埋め込まれている。本研究は、これまでの日本の民俗学が十分に取り組んでこなかったヴァナキュラー文化の事例研究を蓄積し、そのなかから普通の人びとの「生」と結びついた日常の創造的生活戦術を読み解くことを第一の目的とする。さらに、その研究方法や理論を検討することによって、日本の民俗学においてヴァナキュラー文化研究の視座を構築し、民俗学の研究領域を拡大することを第二の目的とする。



 


高橋 昭雄
基盤研究 (B)
インドシナ農村の社会経済構造から見る脱農化と帰農化の現代史 (2022~2025年度)

 概 要 

研究分担者
宮田 敏之, 小林 知, 高橋 塁
研究の目的
 本研究の目的は、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマーのインドシナ4国を対象に、(1)新型コロナ危機下で生起している帰村現象をインドシナ農村の基本構造およびその変容の視点から分析・記述することにはじまり、(2)これを過去に起こった帰村と比較し、その特殊性と共通性を明らかにして、さらにはその前に起こった離村に至るまで、農村の内部構造から考察すること、である。
 だが本研究はそれだけにとどまらない。それは離村と帰村を超えたより広い社会経済学的視点、すなわち、(3)De-agrarianisation(脱農化)とRe-agrarianisation(帰農化、再農化)という新たなる視座から、インドシナ農村の特質を析出し、その変容を現代インドシナ社会経済史の中に位置付けることである。



 


古井 龍介
基盤研究(C)
前近代南アジアにおける文書と識字―中世初期ベンガル碑文集成の編纂を通して(2019~2023年度)

 概 要 

研究分担者
なし
研究の目的
 本研究は、5世紀から13世紀のベンガルに属する碑文を調査・撮影・校訂し、碑文集成として刊行すること、およびそれを通して前近代南アジアにおける文書と識字の諸側面を明らかにすることを目的とする。具体的にはインド・バングラデシュで近年発見された未校訂碑文の調査・解読・論文としての公表を進めつつ、両国および欧米各国の諸機関に収蔵された公表済み碑文についても再調査・再校訂し、銅板文書とその他の碑文(石碑・像銘)に分類した上でそれぞれを碑文集として公刊する。また、同時に銅板文書など諸碑文の形状・形式の分析を進め、上記諸側面を解明する。



 


馬場 紀寿
基盤研究(C)
パーリ語世界の形成にかんする思想史的研究(2020~2024年度)

 概 要 

研究分担者
なし
研究の目的
 本研究は、「パーリ語世界がどのように生まれたのか」を考察するに当たり、パーリ語世界の成立の起点となったスリランカで最初に編纂・制作されたパーリ語文献に焦点を当て、その成立状況と思想内容を解明する。スリランカのパーリ文献を、インド本土で成立した仏教文献と比較することによって、パーリ文献に独自の思想の成立状況を調査する。さらに、これらパーリ文献の分析を通して東南アジア大陸部に影響を与えた思想が如何にして成立したのかを分析する。この二段階の作業を経て、パーリ語世界を形成した基本的思想がどのように生まれ、東南アジアに広まったのかを明らかにしたい。最終的には、サンスクリット語世界が始まった4、5世紀に、スリランカのパーリ語文献が独自に生み出し、後の東南アジア大陸部に影響を与え、パーリ語世界の礎となった諸思想を解明する。



 


大木 康
基盤研究(C)
明末「艶文学」の総合的研究(2020~2023年度)

 概 要 

研究分担者
なし
研究の目的
 中国の明末は、何らかの形で女性にまつわる文学、「艶文学」が盛んに行われた時代であった。白話小説の世界においては『金瓶梅』をはじめ、馮夢龍の「三言」、李漁の『十二楼』。文言の小説においても、秦淮寓客『緑窓女史』、王世貞の編とされる『艶異編』、馮夢龍の『情史類略』など、歴代の女性にまつわる物語を集めた故事集が続々と編まれた。戯曲については、湯顕祖の『牡丹亭還魂記』がその代表。艶詩人、王彦泓があらわれたのもこの時代。そして、歴代の妓女が作った詩を集めた『青楼韻語』、唐詩の中から女性を詠じた詩を集めた『唐詩艶逸品』なども編纂刊行されている。さらに『呉騒合編』『太霞新奏』などの散曲集、馮夢龍の『掛枝児』『山歌』など男女の恋情を主題とした俗曲集、民間歌謡集に至る。
従来の研究では、これらがジャンルごとにばらばらに行われてきたが、本研究では、これらを総合的に扱い、中国明末文学の深層に迫りたい。



 


柳 幹康
基盤研究(C)
『宗鏡録』の一心思想の研究 (2021~2025年度)

 概 要 

研究分担者
なし
研究の目的
 本研究は東アジア仏教全体を展望する巨視的な視座の確立を目指し、『宗鏡録』が中国仏教独自の禅の立場からインド由来の仏教思想をいかに捉えなおしたのかを文献学的に解明する。
 『宗鏡録』は禅宗所伝の一心(本来仏である己の心)を明かすために仏典から要文を網羅的に蒐集し、100巻にまとめた書物である。そこでは禅の立場から従来の教・律・浄土など仏教の諸要素が一心看取のための手段として読み替えられている。『宗鏡録』は従来の多元的な仏教を禅の一心を核に一元的に再編するものであり、その後中国のみならず朝鮮・日本を含む東アジア一帯の仏教に多大な影響を及ぼした。
 本研究では『宗鏡録』と関連文献を比較分析することで、一心に関する諸説が従来の仏教においてどう形成され、それを『宗鏡録』がいかに摂取したのか、ならびに『宗鏡録』が一心に基づき従来の仏教を具体的にどう再解釈したのかを明らかにする。



 


塚本 麿充
基盤研究 (C)
日本・アジア美術史のオーラルヒストリー・アーカイヴの構築と公開 (2022~2024年度)

 概 要 

研究分担者
板倉 聖哲, 高岸 輝, 増記 隆介
研究の目的
 本研究は日本・東洋美術史学のオーラル・アーカイヴの構築、および公開を目指す。日本の1930-40年代生まれの美術史家、修理関係者および美術関係者を中心に、各地の協力者に依頼し、共同して聞き取り調査(グループ・インタビュー)を行い、報告書およびweb上で公開する。同時に海外(アメリカ、ヨーロッパ、中国、台湾、韓国)の関係者にも調査を行う。従来までは残らなかった作品に関する総合的な情報を後世に伝えるまた本調査終了後も、引き続き1950年代以降について、継続的調査・公開をすすめていく。 また従来まで蓄積されてきた近代の美術史学研究に非常に欠落している部分として、特に戦後に盛んになったアメリカ・ヨーロッパ・中国・韓国・台湾をふくむグローバルな美術史学の交流、および展開のなかでの位置付け行うことにより、日本、東アジア地域、欧米各地における美術史学研究の成立および相互理解の具体的な過程を明らかにする。



 


小寺 敦
基盤研究 (C)
先秦時代における政治思想の形成と展開-清華簡墓主個人の精神的内面の視角から- (2022~2024年度)

 概 要 

研究分担者
なし
研究の目的
 清華簡という同一墓葬から出土したことが確実である清華簡の政治思想関連文献を緻密に検討することにより、当時の墓主の政治思想を復元し、当時の楚地域における一個人の政治的な思想体系を知ることができる。また研究を進めるにあたって、清華簡という単一の資料群内の文献を相互に参照することにより、出土資料の解釈が伝世文献の内容に誘導されることが起こりにくくなる。以上により本研究を進めることによって、当時の人々の政治思想のみならず、精神世界のあり方を具体的に知る手掛かりになる。それから清華簡が楚地域の墓葬であり、清華簡に中原地域である三晋地域由来の要素が見られるから、楚地域における精神世界、そして楚地域と中原地域との思想的・文化的な関係性を理解する契機にもなり得る。この従来不可能であった先秦時代における特定個人の精神世界を復元することが、ひいては中国史の諸事象に対する見直しに繋がることになるであろう。



 


小川 道大
基盤研究 (C)
植民地化によるインド西部の農村社会の変容:前植民地期からの連続的考察 (2022~2025年度)

 概 要 

研究分担者
なし
研究の目的
 本研究は植民地化によるインド農村の社会経済的な変容を、植民地下の新地税制度に注目し、前植民地期に遡って考察する。そのために本研究は前植民地期の史料が多く残るインド西部を対象とし、前植民地期と植民地の税関係の史料を比較・結合することで、植民地化による変化を連続的に考察する。具体的には、①前植民地期の郡および村落の税記録、②前植民地期の通関税および交易記録、③植民地期の当該記録を用いてこれらの史資料群の比較・結合を行う。



 


田中 有紀
若手研究
中国における「科学」と「技術」の哲学:江永の「自然」と「人間」をめぐる思想 (2021~2023年度)

 概 要 

研究分担者
なし
研究の目的
 本研究は前近代中国における「科学」を対象に哲学的分析を行い、中国における「科学哲学」を構築することを目的とする。科学哲学が「科学という知的活動を対象とした哲学的考察」(野家啓一『科学哲学への招待』)であるならば、まず、中国に科学が存在していたかどうかを問わなければならない。科学が「観察や実験などの経験的方法に基づいて実証された法則的知識」(同上)であり、17世紀ヨーロッパの「科学革命」以降に定義されたのならば、中国で「科学革命」が起こらなかった以上、中国「科学」は科学ではない。「前近代中国は様々な分野で西欧文明に先んじていたのに、なぜ近代『科学』へ転換しなかったのか」という問いも不必要となる。「科学革命」を起こるべきものとして捉え中国に科学を見出そうとする考え方自体が西洋中心主義であるなら、中国には中国の「科学」との向き合い方があるはずであり、本研究ではその向き合い方そのものを分析する。



 


板橋 暁子
若手研究
魏晋南北朝隋唐時代における婚姻規範と実践 (2021~2023年度)

 概 要 

研究分担者
なし
研究の目的
 本研究の目的は、魏晋南北朝隋唐時代の婚姻実践とその背景、影響を、規範と反規範という観点から明らかにすることである。研究史において、魏晋南北朝期から唐代初期までは、いわゆる門閥貴族が実権を握る時代として長らく位置づけられてきた結果、当該時期の婚姻に関する従来の研究も、貴族間の通婚と姻族関係の形成、あるいは特定の氏族に対する公主降嫁など皇室と貴族の通婚に関する研究が主流であった。本研究は、記録が残りやすい皇室・貴族を分析対象の一部に設定するという点で従来の研究と共通するが、従来の研究が、皇室・貴族間もしくは貴族間婚姻の分析を通じて政治権力の構築・維持・再配分といった動向を浮かび上がらせることに主眼があったのに対して、本研究は、いかなる社会階層の男女がいかなる関係性において婚姻を成立させるか、その婚姻を社会的に成立させる規範はいかなるものか、という点の解明に主眼がある。



教員以外

 


水上 遼
研究活動スタート支援
中世イスラームにおけるスンナ派とシーア派の対話:十二イマームの美質の書の研究 (2021~2022年度)

 概 要 

研究分担者
なし
研究の目的
  本研究の目的は、イスラームの二大分派であるスンナ派とシーア派の間で共通の崇敬対象となった十二イマームという宗教指導者に関する議論を分析し、両派の「対話」の歴史を明らかにすることにある。スンナ派とシーア派の関係史は、現代での紛争や国際関係上の問題から、「対立の歴史」とみなされ、両派の宗派意識や宗派境界は歴史上確固として存在したかのように語られることが多い。しかし実際には、シーア派(特に十二イマーム派)教義の中核的存在である十二イマームが、12世紀以降にスンナ派の一部でも崇敬対象となるなど、宗派のあり方には多様性や流動性がみられた。
 本研究では特に、両派の間で繰り返し書かれた、十二イマームの美質(素晴らしさ)に関する伝承を集めた、美質の書という作品群に着目する。そして、そこで自派と他派の区別や宗派意識・宗派境界がいかに論じられているかを分析し、対話を軸とした新たな両派の関係史の構築を目指す。



その他の研究助成・奨学金

板倉 聖哲
公益財団法人鹿島美術財団 美術普及振興(調査研究)
中国絵画コレクションに関する基礎的な研究 (2021~2023)
佐治 奈通子
公益財団法人りそなアジア・オセアニア財団 調査研究助成
オスマン帝国におけるフランシスコ会の活動:クレシェヴォ修道院所蔵オスマン語文書群(18~19世紀)の分析から (2021~2022)
松田 康博
米日財団助成金
A Study on the Impact of Taiwan Strait Issue on the US-Japan Alliance (2021~)
汪 牧耘
公益財団法人松下幸之助記念志財団 研究助成 人文科学・社会科学領域
中国の国際開発知:概念、現場経験と学問形成の隙間に (2021~2022)