書籍紹介

大木康 著『晩明風雅』(香港城市大学出版社)

著者からの紹介

 香港城市大学出版社「坐看雲起」シリーズ(鄭培凱教授主編)の一つとして、『晩明風雅』が刊行されました。これはわたしが主として関心を抱いてきた中国明末(晩明)に関して、中国語で発表した文章のいくつかをまとめたものです。先に刊行した『明清戯曲俗曲雑考』(中国語 復旦大学出版社 2021年)は、明清時代の戯曲と俗曲に関するものでしたが、本書では、第一部において冒襄、呉兆騫など文人の文学、第二部には白話小説や歌謡など通俗文学、第三部では明末出版文化に関する文章を集めました。「風雅」という言葉は、本来『詩経』における民間の通俗的な「風」と宮廷のより高雅な「雅」にもとづきますが、本書の「風雅」も、文人の文学と通俗文学の両者を含む意味を込めています。これもまた、中国語で発表されることで、中国語圏の多くの読者から批判や指教を受ける機会になれば幸いです。

目次

第一部
黄牡丹詩會
宣爐因緣
秀才家書:吳兆騫《上父母書》
順治十四年的南京秦淮
清代女詩人與柳如是:介紹日本澄懷堂美術館藏 《顧媚畫柳如是書合璧冊》
第二部
通俗文藝與知識人:中國文學的「表」與「裹」
「情慾」與「教化」:以《古今小說》卷一為材料
從「說話」到「讀物」:以馮萝龍《三言》和上田秋成《雨月物語》為例
江南歌謠與日本
第三部
明末江南出版文化諸相:初期大眾傳媒社會的成立
明末江南的出版人
《儒林外史》反映的出版活動

情報

大木康 著 『晩明風雅』
香港城市大学出版社,240ページ 2022年7月 ISBN:978-962-937-601-7
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東洋文化研究所教員の著作