書籍紹介

大木康 著 『明清戏曲俗曲杂考』(復旦大学出版社)

著者による紹介

 中国上海の復旦大学出版社より「新世紀戯曲研究文庫」の一つとして『明清戯曲俗曲雑考』を刊行させていただいた。このシリーズの主編は、わたしが大学院生時代、復旦大学に留学した時の指導教官であり、その後もご指導いただいてきた江巨栄先生(復旦大学中文系教授)である。
 日本語で「戯曲」は、多くは演劇の脚本を意味するが、中国語の「戯曲」は、脚本のほかに舞台上の演劇(伝統演劇)そのものをも含んだ、より広い意味で用いられる。本書は、わたしがこれまでに発表した文章のうち、戯曲、俗曲に関わるものを集めた。
 中国の明清両代は、戯曲、小説、俗曲などの俗文学が盛んに行われた時代である。本書の第一編は「明清戯曲の環境」として、この時代の俗文学をとりまく環境をめぐる文章を選んだ。第二編は「戯曲各論」、第三篇は「俗曲各論」である。はなはだ雑ながら、この時代の戯曲、俗曲の様相の一端を示せれば何よりである。
 拙い論考ではあるが、中国語で発表されることで、中国語圏の多くの読者から批判や指教を受ける機会になればと願っている。わたしにとって六点目の中国語単著である。

目次

第一编 明清戏曲的环境
晚明俗文学兴盛的精神背景
晚明通俗文学的兴盛和士大夫之“发现民众”
从俗文学看明清的城市与乡村、中央与地方
通俗文艺与知识分子――中国文学的“表”与“里”
庶民文化·民众文化
16、17世纪世界的文学
从图像资料看明清时代的歌唱文化
第二编 戏曲各论
安顺地戏调查报告
元杂剧的东渡与日本能乐关系重探――以“傩戏”为切入点
中国戏剧中的钟馗――从古典到现代
冒襄的戏剧活动
蒋士铨笔下的汤显祖与江南文人――读《临川梦》
彭剑南之戏曲《影梅庵》《香畹楼》及其时代
第三编 俗曲各论
中国明清的歌谣
江南歌谣与日本
明清小说中的俗曲《西江月》
冯梦龙《情仙曲》

情報

大木 康
『明清戏曲俗曲杂考』
復旦大学出版社, 331ページ 2021年9月 ISBN: 978-7-309-15811-3/J.457

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