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2021年度 第2回 定例研究会「植民地支配下におけるインド西部への新地税制度導入に関する一考察:前植民地期からの歴史変動に注目して」(小川道大准教授)のお知らせ

日時:2021年10月21日(木)14時~16時

会場:オンライン(Zoomミーティング)

申込方法:登録フォーム ( https://forms.gle/GLyeR6niDYkqFyiM7 ) より、10月20日までにお申し込みください。10月21日正午までにZoom入室用URLをお送りいたします。

題目:植民地支配下におけるインド西部への新地税制度導入に関する一考察:前植民地期からの歴史変動に注目して

発表者:小川 道大(東京大学東洋文化研究所・准教授)

司会:古井 龍介(東京大学東洋文化研究所・教授)

コメンテーター:太田 信宏(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・教授)

使用言語:日本語

要旨:
 本研究は、1818年に英領となったインド西部に新たに導入された地税制度に注目し、その導入過程を前植民地期に遡って分析することで、前植民地期から植民地期にかけての税制度および社会経済の変化を連続的に考察していく。インドの植民地化に関しては、英語史料に基づく植民地期研究と、インド諸語・ペルシア語史料に基づく前植民地期研究との間で断絶があり、本研究はその断絶を埋める一助となることを目指す。
  植民地下でインド西部に新たに導入された地税制度はライヤットワーリー制と呼ばれ、植民地政府が農民と直接に地税の取決めを行うことを特徴とした。このことは、前植民地期に農民と政府の間で様々な形で地税の取決め・納入に関わっていた中間有力者を排除することを意味する。本研究は、1836年にインド西部で最初にライヤットワーリー制が導入されたボンベイ管区プネー県インダプール郡を対象に、中間有力者が如何にして排除されたのかに注目し、新地税制度がインド西部に最初に導入された過程を明らかにする。
  インド西部を拠点として18世紀に台頭し、1818年にイギリスに滅ぼされたマラーター同盟に関しては、税帳簿を中心に村落やその集合である郡を対象とした詳細な記録が、在インド・マハーラーシュトラ州立文書館プネー分館に大量に保管されている。この記録はインド西部の現地語であるマラーティー語の旧字体(モディ体)で表記され、その読解が困難であるために、これまで十分に分析されてこなかった。この現地語史料群の中で、本研究は、経年的に記録が得られる18世紀半ば以降の、マラーター同盟下のインダプール郡の税帳簿を分析し、前植民地期における同郡の地税制度の変遷およびその社会経済変動を描くことで、インダプール郡が新地税制度の初の導入地域となった所以を示す。さらに前出のプネー分館には、19世紀半ばまでの植民地期初期に作成された現地語史料も保管されており、同時代の英語および現地語史料を比較分析することで、新地税制度の導入をめぐるインド西部、特にインダプール郡の状況を異なる視点から分析する。

担当:小川



登録種別:研究会関連
登録日時:WedSep2910:25:352021
登録者 :小川・渡邊・田川
掲載期間:20210930 - 20211021
当日期間:20211021 - 20211021