2025年9月4~5日に、中国・東南大学外国語学院で開催された東南大学海外中国史料研究中心主催国際フォーラム「“東亜文化遺産與記憶”円卓論壇・東南大学全球名師講堂」において、菅豊教授による「非物質文化遺産與陋習化―普遍性価値與文化多様性的冲突(無形文化遺産と因習化―普遍的価値と文化多様性の相克)」と題する招待講演が行われました。その後、東京大学東洋文化研究所班研究「東アジアの文化遺産と記憶 / Cultural Heritage and Memory in East Asia 」メンバーを含む、日中の研究者たちによって活発な議論が行われました
※本フォーラムは、東京大学東洋文化研究所班研究「東アジアの文化遺産と記憶 / Cultural Heritage and Memory in East Asia 」との共同研究の成果である
【日本語要旨】
現代社会で、動物の権利を尊重し、また動物の福祉へ配慮することが「常識」となりつつある。その結果、現在、伝統的な動物利用文化が徐々に否定されつつある。グローバル化が進行する中、世界を席巻し普遍化しつつある西洋的な現代的価値と、限られた地域にしか存在しない個別化した伝統的価値との間にはずれが生じ、対立や軋轢を生み出した。かつてなんの疑いもなく継承されてきた動物利用文化は、価値観や規範が変化することにより、その規範からの逸脱と見なされ、否定され消去されるべき因習となってしまったのである。本講演では、「因習化」をキーワードに今後さらに深刻化する、価値観や感受性の違いに基づく人間間の分断と軋轢について問題提起し、民俗学者が今後果たすべき役割について概述する。