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自己点検・評価セミナー「中国法研究序説:紛争・法源・近代法史・入門」(高見澤磨 教授)が開催されました

自己点検・評価セミナー「中国法研究序説:紛争・法源・近代法史・入門」(高見澤磨 教授)

 2013年10月10日(木)の午後、東洋文化研究所の自己点検・評価セミナーの一環として、高見澤磨教授(東洋文化研究所東アジア第一研究部門)による報告「中国法研究序説:紛争・法源・近代法史・入門」が行われた。
 高見澤氏は、これまでの研究の柱として、「紛争」「法源」「近代法史」「入門」の四つを挙げ、それぞれの目的と成果を明らかにした。「紛争」とは、中国での紛争のあり方、また、それがどのように解決され、あるいはされなかったのかを問うものである。高見澤氏の結論は、中国における紛争が、調停的に、「節理心服」でもって解決されてきたということであった。また、そうした紛争解決の背景に、司法の力量不足や、調停的な解決が重要な統治術とみなされるという状況があったことが指摘された。
 二つ目の「法源」は、中国において何が法なのか、とくに裁判をする際に何が根拠となりうるのかを問うものであった。ここでは、地方での試み(その時点では、党の政策や国家の法に適合的か否か不明な場合もある)が、最終的に国家法となるまでの成り立ちが扱われた。三つ目の「近代法史」は、清末の法制改革以後に法学・法務が置かれた状況を明らかにするものであった。これに関しては、外在的な要因による法の変容があったとの結論が示された。
 最後の「入門」とは、木間正道・鈴木賢・宇田川幸則各氏と共に、中国法の入門書の刊行を目指した取り組みのことである。その際、固有法史および刑事法を担当したこと、そして、それが1998年以降、『現代中国法入門』(有斐閣外国法入門双書)として結実し、現在まで版を重ねてきたことが報告された。
 その後、木間正道氏(明治大学・法学部・教授)と宇田川幸則氏(名古屋大学大学院・法学研究科・教授)が、高見澤氏の中国法研究についてそれぞれコメントを行った。木間氏は、高見澤氏の研究の特徴として、「課題を分析する際の対象の広さと深さ、明確な問題意識と対象を論証する際の基本的視覚の確かさ」を挙げ、宇田川氏は「独特、かつ、極めて冷めた視点」から、「表層ではなく、深層に切り込むこと」と表現した。最後に、約25名の参加者を交えて、「節理心服」と呼びうる調停の形などに関して、活発な質疑が行われた。


日 時: 2013年10月10日(木) 14〜16時

会 場: 東京大学東洋文化研究所 3階 大会議室

題 目:「中国法研究序説:紛争・法源・近代法史・入門」

報告者: 高見澤 磨 (東洋文化研究所・教授)

司 会: 大木 康  (東洋文化研究所・所長)

コメンテーター : 木間 正道(明治大学・法学部・教授)、宇田川 幸則(名古屋大学・大学院法学研究科・教授)

担当:高見澤


自己点検・評価セミナー「中国法研究序説:紛争・法源・近代法史・入門」(高見澤磨 教授)

自己点検・評価セミナー「中国法研究序説:紛争・法源・近代法史・入門」(高見澤磨 教授)

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登録種別:研究活動記録
登録日時:Wed Oct 23 02:01:36 2013
登録者 :後藤・野久保(撮影)・藤岡
掲載期間:20131010 - 20140110
当日期間:20131010 - 20131010