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第2回定例研究会「『新しい野の学問』とはなにか?―研究者と社会とのつながり方―」が開催されました

日時 : 2013年11月14日(木)14:00-16:00 

会場 :東京大学 東洋文化研究所 3階 大会議室 

題目 :「『新しい野の学問』とはなにか?—研究者と社会とのつながり方—」

発表者:菅 豊(東洋文化研究所・教授)

司会:安冨 歩 (東洋文化研究所・教授)

コメンテーター:佐藤 仁(東洋文化研究所・准教授)

使用言語:日本語

担当:菅


第2回定例研究会「『新しい野の学問』とはなにか?―研究者と社会とのつながり方―」

 2013年11月14日(木)の午後、今年度2回目の定例研究会が開催され、菅豊教授(東洋文化研究所新世代アジア研究部門)による「『新しい野の学問』とはなにか? ―研究者と社会とのつながり方」と題する研究報告が行われた。
  菅氏によると「新しい野の学問」とは、「現代社会において、アカデミックの外側の多様な人びとが主体となって、アカデミックや公共部門など多様なアクターが協働して、身の回り(=「野」)に問題を発見し、情報を収集し、分析し、発信し、実践し、そして組織を構成し、資金を獲得する知識生産と社会実践」のことである。報告では、まず、研究者や専門家がこの「新しい野の学問」にどのように参画し、その過程で社会とどのような関係を結ぶことができるのかを議論することが今回の趣旨であると示された。
  その上で、民間学としての「野の学問」が勃興し、アカデミズムとの断絶の時代(1900~1930 年代)やアカデミズムへの抵抗の時代(1960~90年代)を経て、近年、アカデミズムとの協働の時代(=「新しい野の学問」の時代)を迎えているという流れが紹介された。その協働に伴う困難さとして、菅氏は、研究者や専門家の側に、(1)何を「善」と捉えるかという価値判断の問題や(2)知識や価値、規範の刷り込みに加担する危険性があるという問題、(3)多様なアクターの間に生じているヘゲモニーの問題、(4)実践の目的をめぐる問題、(5)アカデミックな見地と実践側の見地とのずれをめぐる問題があることを指摘した。
  さらに具体例として、菅氏の調査地である新潟県小千谷市での経験、とくに2004年の中越地震以降の復興をめぐる取り組みの事例や、「ユネスコエコパーク」での「レジデント型研究者の家」に関する提案の事例などが挙げられた。最後に、菅氏は、「新しい野の学問」の時代において、研究者は、個別地域に深く入り込み、人々との密接な関わりをもつ中で、その地域の社会的、経済的、精神的価値を抽出し、それらを地域の外側に提示したり、逆に、地域の外の動きを内側にわかりやすく伝達したりすることができる、そうして、「地域の人々を主体とする文化運動を協働して創造し、維持する」役割を果たしうるのではないかと述べた。
  報告後、コメンテーターの佐藤仁准教授(東洋文化研究所汎アジア研究部門)が、研究者あるいは学問探究者のあり方について問いを投げかけ、そこに約30名の参加者が加わる形で、研究者による知識生産や伝達の方法や対象、その他の「実践」などに関して、大変活発な議論が行われた。


第2回定例研究会「『新しい野の学問』とはなにか?―研究者と社会とのつながり方―」

第2回定例研究会「『新しい野の学問』とはなにか?―研究者と社会とのつながり方―」

第2回定例研究会「『新しい野の学問』とはなにか?―研究者と社会とのつながり方―」

第2回定例研究会「『新しい野の学問』とはなにか?―研究者と社会とのつながり方―」

第2回定例研究会「『新しい野の学問』とはなにか?―研究者と社会とのつながり方―」

第2回定例研究会「『新しい野の学問』とはなにか?―研究者と社会とのつながり方―」

第2回定例研究会「『新しい野の学問』とはなにか?―研究者と社会とのつながり方―」

第2回定例研究会「『新しい野の学問』とはなにか?―研究者と社会とのつながり方―」

第2回定例研究会「『新しい野の学問』とはなにか?―研究者と社会とのつながり方―」

第2回定例研究会「『新しい野の学問』とはなにか?―研究者と社会とのつながり方―」

第2回定例研究会「『新しい野の学問』とはなにか?―研究者と社会とのつながり方―」


当日は ustream (http://www.ustream.tv/tobunken/) にて実況中継をしました。11月21日までに70名に視聴者がありました。



登録種別:研究活動記録
登録日時:WedNov2010:28:342013
登録者 :菅・後藤・野久保(撮影)・藤岡
掲載期間:20131114 - 20140214
当日期間:20131114 - 20131114