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菅豊教授が台湾文化部文化資産局主催国際シンポジウム『2017 亜太無形文化資産論壇-前瞻教育與当代実践』(台湾・台中市)で招待講演

2017年5月11~13日に台中文化創意産業園区衡道堂(台湾・台中市)で開催された台湾文化部文化資産局主催国際シンポジウム『2017 亜太無形文化資産論壇-前瞻教育與当代実践(International Forum on Intangible Cultural Heritage: The Pedagogy of Intangible Cultural Heritage in Contemporary Asia)』において、菅豊教授による「無形文化資産保存維護與公共民俗学:「共学」立場與方法之必要性」と題する講演が行われました。当日、このシンポジウムには100名ほどの研究者が集まり、活発な議論が交わされました。
  ※本講演はJSPS科研基盤B「パブリック・ヒストリー構築のための歴史実践に関する基礎的研究」の研究成果である。

講演要旨

  「無形文化遺産の保護に関する条約」は、無形文化遺産の管理を行う主体の多様性を尊重し、その多様な主体の積極的な参画を促進しようとする理念を有している。たとえば、同条約第15条では、無形文化遺産を保持する集団や個人、コミュニティ、すなわち遺産の担い手たちが、文化資源としての無形文化遺産に関わる諸活動へ、積極的に参加することを促している。このように社会の多様なアクターが主体的に協力しながら、意思決定や合意形成に協働的に関与する社会統治のあり方を「協治(collaborative governance)」と呼び、無形文化遺産条約はこの協治の理念に影響を受けている。しかし一方で、協治の観点から無形文化遺産条約を眺めたときに、無形文化遺産に関する「教育」には協治の理念は十分には反映されておらず、いまだ一方向的な啓蒙教育がなされがちである。今後、条約が目指す無形文化遺産の再活性化(revitalization)を円滑に進めるためには、一方向的な啓蒙教育から、多様な立場性と、多彩な知識や能力をもった人びとが、対等で水平な関係で繋がりネットワーク化して、協働的に無形文化遺産やそれを取り巻く状況を学ぶ双方向的な「協働学習(共学、collaborative learning)」へと、思考を転換させなければならない。

当日の様子



登録種別:研究活動記録
登録日時:WedMay2411:32:092017
登録者 :菅・川野・藤岡
掲載期間:20170511 - 20170811
当日期間:20170511 - 20170511