最初に、渡邊祥子(東京大学)が今後の研究会の企画につき共同研究者と協議した。 その後、研究報告二件とディスカッションが行われた。第一の報告では、私市正年(上智大学)が13~15世紀におけるトゥワート地方(アルジェリア南部)のオアシス都市Tamantitの発展と、イスラーム法に基づく法的秩序の発展を、ユダヤ教徒の地位をめぐる法学論争と、年代記で伝えられるユダヤ教徒虐殺事件の真偽について検討しつつ分析した。 第二の報告として、吉田敦(東洋大学)がアルジェリアを含むアフリカ諸国の中国との近年の経済関係の変化を考察し、中国によるインフラ投資や貿易、技術支援をアフリカ諸国の開発にとってプラスの効果を生むと考える議論がある一方で、とりわけポスト・コンフリスト国において様々な政治的問題を生んでいることを指摘した。参加者は会場7名、オンライン3名だった。
ディスカッションにおいては、タマンティートの都市社会とザイヤーン朝の首都トレムセンとの政治的な権力関係、マグリブ南部の都市社会におけるユダヤ教徒の政治的、宗教的伝統における役割について議論が行われた。また、アメリカ、ヨーロッパ諸国のアフリカ支援と中国のそれの性質の違いについてのこれまでの経済学の議論、湾岸アラブ諸国などアフリカに関心を持つ中国以外の新しいアクターの政策などについても活発な意見交換が行われた。
なお、この研究会は科研費基盤研究(C)(一般)2 4 K 0 4 2 8 2「イスラーム教育の社会的機能に関する国際共同研究:後期植民地期アルジェリアの事例」の助成を受けた。
日時:2025年7月19日(土)14:30~18:10
場所:東京大学 東洋文化研究所 第一会議室(3階 304)
形式:会場とZoomによるハイブリッド
言語:日本語
プログラム:
14:30~15:00:班研究共同研究者による打ち合わせ
15:00~16:30
私市正年(上智大学)による口頭報告「サハラ・オアシス社会における都市形成――Tamantitの繁栄とイスラーム法体制及びユダヤ教徒虐殺事件」、質疑
16:40~18:10
吉田敦(東洋大学)による口頭報告「中国とアフリカ諸国間の経済連携強化の現状と課題ー産油国(アンゴラ、アルジェリア)を例証としてー」、質疑