News

平成19年度第6回定例研究会のご案内

ヴェーダ文献、ポスト・ヴェーダ文献における雨乞い儀礼:その外観」
日時:2008年2月7日(木)14:00〜16:00
場所:工学部8号館大会議室(736室)
報告者:永ノ尾信悟(東洋文化研究所 教授)
司会 :中里 成章(東洋文化研究所 教授)
討論者:名和 克郎(東洋文化研究所 准教授)
報告論旨:
リグヴェーダとアタルヴァヴェーダにはわずかであるが雨乞いの賛歌と詩節がある。ヤジュルヴェーダのサンヒターとブラーフマナは独立した雨乞い儀礼をいくつか伝えている。祭式解釈文献では雨を得るために儀礼行為を部分的に変更する場合や、祭式解釈の効果の言明としての雨降りが散見され、ある祭式の執行課程で雨乞いを行っていたことを示唆する。また、雨の予知の記述もあり、降雨への関心をうかがわせる。
グリヒヤスートラと他のポスト・ヴェーダ期の文献において雨乞い儀礼は記述されるが、その儀礼の規模は縮小され、記述そのものも少なくなっていく印象を得る。仏教文献における雨乞い儀礼のいくつかの例を見ることができるが、雨と深い関係をもつナーガ(蛇、竜)が儀礼との関係で言及されるのはこれら仏教文献だけであるのは奇異に思える。
グリスやスートラ以降の文献ではため池完成儀礼の記述が増えてくる。まるで、ため池完成儀礼が雨乞い儀礼に置き換えられた感じがする。ため池が実際により多く掘られるようになったことが理由の一つとして考えられるが、失敗におわる可能性の高い雨乞い儀礼をおこなうリスクを感じたバラモン達が儀礼執行そのものに関心を示さなくなったのが、少なくともバラモン達の行った儀礼を記述する文献のレベルでの雨乞い儀礼の現象の大きな原因ではないかと思われる。



登録種別:研究会関連
登録日時:Wed Jan 30 14:55:05 2008
登録者 :研究支援担当
掲載期間:20080130 - 20080207
当日期間:20080207 - 20080207