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東文研セミナー「近代以降日本人は『イスラーム美術』品をどう見たか」のお知らせ

東京大学東洋文化研究所班研究「イスラーム美術の諸相」は、以下の要領で、東文研セミナーを開催いたします。

 本セミナーでは、いわゆる「イスラーム美術」品の収集に関しては、欧米と比して後発国であった日本において、それらがどのような独自の文脈で解釈され、受容されてきたのかについて、染織品と陶器という二つのメディアを中心に検討します。


日時:2019年3月8日(金)14:00~17:00

場所:東京大学東洋文化研究所3階第一会議室

発表題目:
「日本におけるイスラーム染織品コレクションの形成」
鎌田 由美子(慶應義塾大学経済学部准教授)

「描かれたペルシャ(波斯):戦後の日本画家・洋画家が見たペルシャ陶器」
神田 惟(東京大学東洋文化研究所特任研究員、教養学部非常勤講師)

発表要旨:
日本におけるイスラーム染織品コレクションの形成
鎌田 由美子(慶應義塾大学経済学部准教授)

 欧米では19世紀後半から、中央アジアやイラン、トルコで生活する遊牧民が織った絨毯や敷物、袋物が集められるようになっていった。近年、彼らの生み出した染織品に対する研究関心が高まり、2017年には大英博物館よりTextiles of the Middle East and Central Asia: The Fabric of Lifeが出版された。では、日本ではそれらはどのようにコレクションされてきたのだろうか。本発表では、民藝運動にかかわった柳宗悦、濱田庄司、芹沢銈介らの蒐集に注目しつつ、遊牧民の生み出した染織品や、中東の織物がどのような人びとに、いかなる意図のもとに集められたのか考察する。

描かれたペルシャ(波斯):戦後の日本画家・洋画家が見たペルシャ陶器
神田 惟(東京大学東洋文化研究所特任研究員、教養学部非常勤講師)

 本報告の目的は、戦後の西アジアのイスラーム化以降に比定されるペルシャ陶器の古美術品としての収集と研究が、日本に拠点を置いて活動する画家たちの創作活動に与えた影響について明らかにすることである。とりわけ、これまで専論のなかった、1950年代後半に端を発する「ペルシャ(波斯)」陶器を題材とした静物画のブームについて光を当て、議論する。前提としてまず、日本におけるペルシャ陶器の収集の時期毎の特質について概観する。そののちに、1961年に『ペルシャ陶器を描く』を上梓した伊東深水(1898–1972年)をはじめとする日本画家と、鈴木信太郎(1895–1989年)ら洋画家による「ペルシャ(波斯)」陶器へのアプローチの違いについて、問題とされる画題の静物画に加え、彼ら自身の収集品や関連する発言、彼らの交友・師弟関係を包括的に検証し明らかにする。


※どなたでも自由にご参加いただけます。事前の登録は不要です。

主催:東京大学東洋文化研究所班研究「イスラーム美術の諸相」

共催:科学研究費研究活動スタート支援「近代日本における「ペルシア/波斯」美術コレクション形成と日本画・洋画・工芸の展開」(2018–19年度、代表者:神田 惟)

問い合わせ先:masuya(at)ioc.u-tokyo.ac.jp

担当:桝屋



登録種別:研究会関連
登録日時:WedJan3010:23:192019
登録者 :桝屋・神田・藤岡
掲載期間:20190130 - 20190308
当日期間:20190308 - 20190308