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東文研セミナー 「張佳先生、段志強先生(復旦大学文史研究院)をお迎えして」が開催されました

東文研セミナー 「張佳先生、段志強先生(復旦大学文史研究院)をお迎えして」 東文研セミナー 「張佳先生、段志強先生(復旦大学文史研究院)をお迎えして」

 2015年1月日(木)午後、東文研セミナー「張佳先生、段志強先生(復旦大学文史研究院)をお迎えして」が東洋文化研究所3階第1会議室にて開催された。高見澤 磨所長(東洋文化研究所)が司会、大木 康(同・教授)がコメンテーターを務め、張 馨元(同・助教)の通訳のもと、本研究所に訪問研究員として滞在している復旦大学文史研究院の張 佳助理研究員と段 志強助理研究員がそれぞれ「明朝初期の漢族元朝遺民」と「清朝後期の中国における禁書の閲覧」を題して発表した。
 張佳助理研究員の報告は、元朝から明朝への王朝交代が大量の漢族元朝遺民を生み出したことに注目し、詩文集の中にある零細な史料の分析を通じて、多くの漢族元朝遺民に見られた行動を、北に向かい北元に投ずる、出家して僧侶や道士になる、明朝に出仕することを拒む、明朝の暦を用いないなどの行動様式に分類した。元朝遺民の存在により、明朝新政権は政治的合法性に問題を生じ、官史の編纂にあたって元朝の歴史を故意に歪曲する、厳格な法律を制定して士人たちを強制的に出仕させる、民間礼俗を粛清するなど、明代初期にみられる重要な史実の発端はすべてこうした背景から合理的に解釈することができると張氏は指摘する。
  段志強助理研究員の報告は、浙江省海寧地区出身の一般文人である管庭芬の閲覧経験を事例に、清朝後期における禁書の閲覧とその影響を再考した。禁書の再普及は20世紀初頭の中国の革命運動に重要な影響を及ぼしたという通説に対し、段氏は、清朝の禁書政策は禁書のみならず、当時の文献全体の流伝を抑えたと主張する。また、清末に禁書が再び閲覧されるようになっても、管庭芬のような一般の文人は禁書の中の人物が明末君主への忠誠心を貫いたことに注目していたため、禁書の閲覧は清朝政府への反抗思想につながらなかったのだという。
 報告後、約25名の参加者により、ほかの時代の遺民と比較した場合の元朝遺民の特徴、明朝初期の政治体制、清朝禁書の分類と内容、禁書政策と清朝政府の統治手法などについて活発な議論が行われた。

当日の様子

東文研セミナー 「張佳先生、段志強先生(復旦大学文史研究院)をお迎えして」 東文研セミナー 「張佳先生、段志強先生(復旦大学文史研究院)をお迎えして」
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東文研セミナー 「張佳先生、段志強先生(復旦大学文史研究院)をお迎えして」

開催情報

日時: 2015年1月8日(木) 14:00-16:30

会場: 東京大学 東洋文化研究所 3階 第1会議室

講師: 張 佳 (復旦大学文史研究院、助理研究員)、段志強 (復旦大学文史研究院、助理研究員)

題目:張 佳 「明朝初期の漢族元朝遺民」

     段志強 「清朝後期の中国における禁書の閲覧」

司会:高見澤 磨(東洋文化研究所 所長)

コメンテーター:大木 康(東洋文化研究所 教授)

使用言語: 中国語(適宜日本語通訳あり)


要旨:
張 佳 「明朝初期の漢族元朝遺民」
 元朝から明朝への王朝交代は、統治民族群の変化を特徴とする一方、大量の漢族元朝遺民を生み出した。本報告は詩文集の中にある零細な史料の分析を通じて、多くの漢族元朝遺民に見られた行動を、北に向かい北元に投ずる、出家して僧侶や道士になる、明朝に出仕することを拒む、明朝の暦を用いないなど、漢族元朝移民に良く見られる行動様式をまとめ、その一群の人々の全体像を示す。大量の元朝遺民の存在により、明朝新政権は政治的合法性に問題を生じるに至った。官史の編纂にあたって元朝の歴史を故意に歪曲する、厳格な法律を制定して士人たちを強制的に出仕させる、民間礼俗を粛清するなど、明代初期にみられる重要な史実の発端はすべてこうした背景から合理的に解釈することができるのである。

段志強 「清朝後期の中国における禁書の閲覧」
 清朝前期、厳酷な文化政策により、大量の書籍の出版、流通、閲覧が禁じられ、これらの書籍は嘉慶朝以降になってようやく再度現れ始めた。これは近世文化史上重要な現象であり、本報告は浙江省海寧地区の公私記録を用いて、この現象に関わる歴史を再考する。

担当:高見澤



登録種別:研究活動記録
登録日時:WedJan1412:07:462015
登録者 :高見澤・張・野久保(撮影)・藤岡
掲載期間:20150108 - 20150408
当日期間:20150108 - 20150108