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平成16年度第6回定例研究会のご案内

日時 2月24日(木)午後2時から4時
場所 東京大学東洋文化研究所 大会議室 (3階)

報告者 中里成章
討論者 長澤榮治
司会  加納啓良

タイトル:「印英間のスターリング残高交渉について−−第二次大戦後国際経済秩序の構築とインド」

要旨:第二次大戦が終結したときイギリスは、インド、エジプトなどに対し、膨大な負債を負っていた。戦費を自国だけではまかないきれず、軍需品その他を「ツケ」で調達し、その費用をポンド建ての負債としてロンドンに積み上げたためである。これをスターリング残高という。独立して急速な工業化を目指すインドにとって、スターリング残高は最大の財源であり、それをイギリスにどのようにして返済させるかは、死活的な重要性をもつ問題であった。他方、ドルに次ぐ基軸通貨であったポンドが国際的信用を失えば、戦後国際経済秩序の構築の重大な障害になることが予想された。インドとイギリスの間のスターリング残高交渉は、この二つの力がせめぎあうなかで進み、インドに不利なかたちで決着したと言える。従来の研究では、この交渉は、イギリスの史料に基づいて、インドとイギリス2極間の交渉として分析されてきた。本発表では、イギリスに加えて、インドとアメリカの史料も用い、インド、イギリス及びアメリカの3極からなる交渉として分析することを試みたい。戦後国際経済秩序の構築を主導したアメリカというファクターを導入して、スターリング残高交渉を従来よりも広い文脈の中に置いて考察するのが、本発表の眼目である。それを通じて、新生インドが直面しなければならなかった厳しい国際経済環境と、その国内経済建設への跳ね返りを、従来よりも明確に浮き彫りにできればと思っている。手法としてはいわゆる事件史に徹することとし、個々の細かい出来事の掘り起こしに主力を注ぐつもりである。

平成17年2月2日
東京大学東洋文化研究所
研究企画委員会

登録種別:研究会関連
登録日時:Wed Feb 2 09:04:21 2005
登録者 :研究協力係
掲載期間:20050202 - 20050224
当日期間:20050224 - 20050224