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<東洋文化研究所紀要別冊>が刊行されました
大木康 著 『馮夢龍と明末俗文學』(汲古書院)

著者からの紹介

 

 現在われわれが目にすることのできる白話小説『三国志演義』『水滸伝』などの作品は、いずれも明末の時期に一つの書物として完成し、最初に刊行されたものである。明末の時代は、白話小説ばかりでなく、戯曲や歌謡など俗文学が隆盛をきわめたことを、その特徴として挙げることができる。その背景には、当時の文人たちが、従来蔑視の対象に過ぎなかった庶民的な文藝に関心を持ち、それらを取り上げたことがある。ところが残念ながら、俗文学に積極的に関わった文人についての具体的な情報はきわめて少ないのが実情である。そうしたなかで、短篇白話小説集「三言」の編者として最もよく知られる、明末蘇州の文人馮夢龍(明万暦2年 1574〜清順治3年 1646)は、その伝記資料が比較的多く残る、きわめて稀な例である。馮夢龍を考えることは、明末文学を考える大きな手がかりとなる。
 この馮夢龍という人物が、これまでずっと、わたしの中国文学研究、中国社会文化研究の中心にあった。本書は、これまで書きためてきた馮夢龍その人について、馮夢龍の作品について、また馮夢龍と俗文学をめぐる当時の環境についての文章をまとめたものである。


目次等、詳細情報は教員の著作コーナーに掲載した記事をご覧ください。



登録種別:研究活動記録
登録日時:WedFeb1403:54:492018
登録者 :大木・松本・野久保(撮影)・藤岡
掲載期間:20180214 - 20180514
当日期間:20180214 - 20180214