日時:2017年3月4日(土)19:00開始(予定)
勉強会のテーマ:「200年前、80年前、35年前の牛の角突き—『伝統』とはなにか?—」
スケジュール:
※司会・進行 菅豊(東京大学東洋文化研究所)
19:00 開会挨拶 間野泉一(小千谷闘牛振興協議会会長)
19:05 趣旨説明 菅豊「200年前から今へ伝えられた角突き」
19:15 過去の映像の検討会—実践者と研究者とがともに伝統を考える
※実践者(闘牛会メンバー・地元関係者)と研究者が一緒に準備、設営、調理した料理を囲みながらの上映会をおこないます。お気軽にご参加ください。
21:00 質疑応答、意見交換
上映会の趣旨
一般的に「伝統」は、長い年月をかけて不易、不変に受け継がれてきたという印象がもたれやすい。しかし多くの「伝統」は、それぞれの時代の社会、経済、政治の影響を受けて自然と変化させられてきた。また地域文化の実践者たちは、意図的に「伝統」のある部分を保存し、また逆に放棄するという「伝統」の取捨選択を行ってきた。これは牛の角突きも同様である。
地域文化の観光化や商業化と無縁でいられない現代社会において、その地域文化の維持を考えるにあたり、「伝統とは何か?」、あるいは「変えてもかまわないもの、変えてはならないものとは何か?」という問題を、文化の担い手、実践者たちが自覚、あるいは意識することは重要である。それを自覚することによって、外部、あるいは、外の人間ではなく、地域文化の実践者自身が伝統の維持・改変の主導権を握ることができるのである。
本プロジェクトの中心課題である、二十村郷の「牛の角突き習俗」に関して、約200年前に著された『南総里見八犬伝』の記録(一部、創作)が残されている。また、約80年前の1935年(昭和10)に渋沢敬三・宮本馨太郎という有名な民俗学者が撮影した映像が残され、そして国指定重要無形民俗文化財がなされた約35年前の1981年(昭和56)に、その文化財化に尽力した民俗学者・宮本常一から薫陶を得た民族文化映像研究所が撮影した記録映像が残されている。それらに残された記録、映像には、いま地域文化の実践者が継承している文化要素が描かれるとともに、すでに捨ててしまった文化要素も描かれている。
今回の勉強会は、過去の牛の角突きの記録や映像を実践者と研究者が検討し、祖先、先輩たちが過去にやっていた牛の角突きを学び、現在自分たちが実践している牛の角突きとの対比を通じて、未来に向けた「伝統」、そしてその継承のあり方について考えてみたい。
(間野泉一、平澤忠一郎、菅豊解説)
コーディネーター:
平沢忠一郎(小千谷闘牛振興協議会実行委員長)
菅豊(東京大学東洋文化研究所教授)
主催:
小千谷闘牛振興協議会、「地域文化活動(闘牛)に対する外部影響と、その対応に関する協働的研究—新潟県の国指定重要無形民俗文化財「牛の角突き習俗」をめぐって—」プロジェクト(サントリー文化財団「地域文化活動の実践者と研究者によるグループ研究助成」)、日本学術振興会科学研究費補助金「パブリック・ヒストリー構築のための歴史実践に関する基礎的研究」(研究代表者:菅豊)、東京大学東洋文化研究所班研究「東アジアにおける「民俗学」の方法的課題」研究会(主任:菅豊)
担当:菅