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東文研セミナー 「フランス社会科学高等研究院のグザヴィエ・ポール先生をお迎えして(連続セミナー)」が開催されました

東文研セミナー 「フランス社会科学高等研究院のグザヴィエ・ポール先生をお迎えして(連続セミナー)」 2回連続のセミナーを行った。
 1回目においては、番攤(Fantan)と呼ばれる広東の賭博の紹介があった。19世紀には世界各地に広東系移民社会が広がり、それにともないFantanも広がりを見せ、ベトナムやフィリピンのように現地社会にとけこむ場合もあったこと、19世紀は中国の国力が衰えを見せた世紀と言われるが、人の広がりとそれにともなう文化の広がりはむしろ盛んである様さえ見られることが紹介された。
 2回目においては、マカオのカジノにおけるFantanの衰退とバカラの隆盛とが紹介された。客同士がゼロサムゲームとはならない仕組み、カジノの取り分がほぼ同じであること、単純なゲームでありながらそのリズムに引き込まれる要素があること、人々がともに盛り上がる性質のものであること、胴元・ディーラーの八百長が行いにくいことなどによってバカラはFantanと相似性を有し、西洋風(あるいはラスベガス風)の装いに成功したことによってfantanを引き継ぐものとしてバカラの隆盛が見られるのではないかという仮説の紹介があった。
 今回紹介された賭博はカジノなどの賭場におけるゲームであり、友人・家族のホームパーティの延長としての賭博ではなく、また、会員制のクラブにおいて行われる賭博でもない点で特徴的であり、そこに同胞社会の形成やビジネスの要素を読み込むことが可能であるという点は興味深いものであった。ラスベガスでは大きな存在のスロットマシーンの存在がマカオでは小さいことなども上記と関わる旨紹介された。こうした視点からは日本のパチンコに見る日本的特性も指摘可能であり、さらには従前のアヘン吸引文化研究とを結びつけることで社会のもうひとつの面を見ることができる。この点で参加者に新鮮な刺激を与えた
(文責、東アジア第一部門 高見澤 磨)

開催情報

セミナー1

講演者:Xavier Paules (フランス社会科学高等研究院)

講演題目:中国賭博 Fantan の社会文化史的考察

日時:2014年12月8日(月)15:10~16:30

場所:東京大学・東洋文化研究所・3階第二会議室

 

セミナー2

講演者:Xavier Paules (フランス社会科学高等研究院)

講演題目:中国賭博 Baccarat の社会文化史的考察

日時:2014年12月8日(月)17:00~18:20

場所:東京大学・東洋文化研究所・3階第二会議室

当日の様子

東文研セミナー 「フランス社会科学高等研究院のグザヴィエ・ポール先生をお迎えして(連続セミナー)」東文研セミナー 「フランス社会科学高等研究院のグザヴィエ・ポール先生をお迎えして(連続セミナー)」
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東文研セミナー 「フランス社会科学高等研究院のグザヴィエ・ポール先生をお迎えして(連続セミナー)」


担当:高見澤



登録種別:研究活動記録
登録日時:WedDec1005:15:242014
登録者 :高見澤・野久保(撮影)・藤岡
掲載期間:20141208 - 20150318
当日期間:20141208 - 20141208