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第4回東洋文化研究所定例研究会

報告者:吉開将人(東洋文化研究所)
題目:「南中国からみた秦漢帝国の成立と展開−百越・南越・ベトナム」
司会:平勢隆郎(東洋文化研究所)
コメンテーター:鶴間和幸(学習院大学文学部教授)
日時:11月18日(木)午後2時ー4時
会場:東洋文化研究所3階大会議室

紀元前2世紀、今日の広東を中心とする南シナ海沿岸に南越という国が存在した。報告では、独自の「帝」を頂点として内地の漢王朝と対峙したこの南越国が、当時一体どのような国家構造をもっていたか、またその構造がいかなる歴史的背景をもつものだったのかについて、おもに印章などの出土資料によって論ずる。この南越を含む「越」的世界の動向は、今日では「民族史」として中国史の「周縁」に置かれるものでしかない。しかし文献を丹念に拾っていくと、秦漢帝国の成立に際しそれらがきわめて重要な役割を果たしていたことが明らかとなる。南越の印章にはそうした歴史が文字通り「刻印」されているのである。また、今日のベトナム(越南)の国号に象徴されるように、この南越は、その滅亡から二千余年の流れの中で、折にふれて後代の人々による評価の対象となり、その歴史像がこの地で再生産され続けてきた。報告では、南越そのものに対する議論と合わせ、中国史とベトナム史の境界で揺れ動いた、この南越の歴史的評価の変遷についても整理を試みる。南越固有の歴史的位相とともに、「中国」世界の「周縁」における歴史的構造がきわめて強い連続性をもつものであることが明らかとなろう。


登録種別:研究会関連
登録日時:Tue Oct 19 14:24:23 1999
登録者 :研究交流委員会
掲載期間:19991019 - 19991118
当日期間:19991118 - 19991118