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東文研セミナー「蒙古関係資料及び蒙古法制関係資料と蒙古法史研究」が開催されました

題目:蒙古関係資料及び蒙古法制関係資料と蒙古法史研究
講演者:那仁朝格図(ナランツォクト)内蒙古大学・法学院・教授、東京大学・東洋文化研究所・訪問研究員
日時:2011年7月7日(木)午後3時から5時半
場所:東京大学・東洋文化研究所・3階・第一会議町室
主催:

東京大学・東洋文化研究所・班研究「中国法研究における固有法史研究・近代法史研究及び現代法研究の総合の試み」
(主任 高見澤 磨 東京大学・東洋文化研究所・教授)

報告及び討論:

   中国語原題を「関於蒙古、蒙古法制資料及其蒙古法史研究」として中国語で行われた(通訳なし)。参加者は、報告者のほか7名。

   最初に蒙古高原の地理的範囲と自然条件の説明を行い、ここで生活した部族や民族の説明があった。これらのうち1206年にクリルタイによってテムジンが汗に選ばれるまでは、蒙古史の前史となるものであるい。その後は、大蒙古国時期、元朝時期、北元時期、清朝時期、民国時期、現代に区分できる。また、17世紀以降のいくつかの地方政権や17世紀以降ロシア領となったブリヤート、1911年に独立宣言をし、その後自治を行い、1945年ヤルタ会議以降国民政府の承認を受けた外蒙古地区などもこれらに蒙古史に含まれる。この歴史は艱難の時代、強大の時代、衰退の時代など歴史的回顧の材料に富むものである。

   蒙古法制資料としては、蒙文・漢文・蔵文・満文やペルシア語・アラビア語・アルメニア語・ロシア語・日本語・英語・フランス語・マジャール語・ドイツ語などの資料や研究成果がある。

   法史区分としては、8-12世紀の慣習法の時代(「約孫」)、その後の成文法の時代(「大札撤」や「亦可察済」などその存否につき論争のあるものや、法律書として伝えられるものなど)を経て、清朝蒙古法制の時代に至る。また、民国期においても蒙古地区は特殊な扱いを受けていた。また、満州国内の蒙古地区や蒙疆政権地区のような特殊な地域もあった。

   これらについての最初の大きな成果はリャザノフスキーによるものである。また、田山茂・島田正郎、近年では萩原守・二木博史の成果ももある。近年中国でも成果があがりつつある。

  但し、現在の中国における研究においては、現代の法学概念による記述が多く、文献研究の精度も低く、これらの課題にとりくまなければならない。

   以上の報告について、蒙古独特の紛争形態についての質問や近年の清史編纂との関係についての質問があり、応答・討論が行われた。

(文責 高見澤 磨 2011年7月11日)

 

     

    


登録種別:研究活動記録
登録日時:TueMay3110:45:222011
登録者 :高見澤・藤岡・野久保(撮影)
掲載期間:20110707 - 20111007
当日期間:20110707 - 20110707