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学術交流コンソーシアム協定による公開講演会(ベンジャミン・エルマン教授)が開催されました

本研究所は昨年、復旦大学文史研究院、プリンストン大学東アジア研究学部との間で学術交流コンソーシアム協定を結び、以後活発な研究交流を実施して います。この協定機関の一つであるプリンストン大学東アジア研究学部長のベンジャミン・エルマン教授の本研究所ご訪問に際して下記の通り、公開講演会を開催いたしました。

尚、同じく協定機関の一つである復旦大学文史研究院長の葛兆光教授による講演会(2011年3月4日)の様子につきましては、こちらをご覧ください。

ベンジャミン・エルマン教授

・タイトル:    Rethinking of the Role of China and Japan in the Early Modern World: The Great Reversal
・講演者   :    Benjamin Elman (プリンストン大学東アジア研究学部長・教授)
・司会者   :    羽田正(東京大学東洋文化研究所長)
・日時      :    2011年6月6日(月)午後3時半~5時半
・場所      :    東京大学 東洋文化研究所3階大会議室
・言語      :    英語(通訳なし)


   本講演は、これまで言わば世界史における一種の常識、あるいは共通認識とされてきた「近代世界における日本と中国の役割」について再考察するという試みで、エルマン教授は日清戦争・日露戦争時の海上での実際の戦闘映像や、軍艦数・動員数等の具体的な戦備状況、賠償金の実質的価値等の史実を提示する一方、日中両国ならびに欧米で当時作成された絵画のイメージや、そこに込められた意図、あるいはそれらのイメージの容認を可能とした背景について詳細に検討し、両国の歴史に対する我々の認識が、如何に操作されたものであるかを鮮やかに示して見せた。それは、これまでの所謂「常識」を覆すという意味で、まさに「大逆転(The Great Reversal)」というタイトルに相応しい、知的刺激に満ちた講演であった。

   エルマン教授は「中国の“敗退”(China’s “Failure”)」と「日本の“成功”(Japan’s “Success”)」という認識に焦点をあて、そのような認識が生じた背景について多様な側面から論じられたが、講演後には「何をもって“Success”とするのか」、「戦勝すなわち幸福な社会の実現と言えるのか」といった本質的な質問が寄せられた。その他にも、欧米と日本の中国研究あるいは中国認識の相違および影響、また朝鮮半島やベトナム、台湾等との関係について、聴衆との間で活発な意見交換が行われた。

   尚、当日は本研究所の大会議室が満席になる程の大盛況で、講演会終了後もエルマン教授を囲んで討議が熱心に続けられ、非常に有意義な学術交流の機会となった。


学術交流コンソーシアム協定による公開講演会(ベンジャミン・エルマン教授)が開催されました学術交流コンソーシアム協定による公開講演会(ベンジャミン・エルマン教授)が開催されました
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【学術交流コンソーシアムによる公開講演会ポスター】


登録種別:研究活動記録
登録日時:TueMar809:45:182011
登録者 :羽田・大野・藤岡
掲載期間:20110606 - 20110906
当日期間:20110606 - 20110606