日 時: 2017年7月20日(木)15:00-17:00
会 場: 東京大学 東洋文化研究所 3階 大会議室
題 目: 東洋的知性の再生:学術・芸術・宗教・生活の実践的再統合を目指して
発表者: 安冨 歩(東洋文化研究所・教授)
司 会: 藏本 龍介(東洋文化研究所・准教授)
コメンテーター: よりた かつひこ(ホースセラピスト)
片岡 祐介(音楽家)
与那覇 大智(画家)
使用言語: 日本語
そ の 他: インターネット放送局の中継あり
概 要:
報告者は1986年から2年半、住友銀行に勤務し、バブルを発生させる仕事に従事した。そこから、優秀なはずの人々が集まって、破壊的な愚行を行う理由を研究するようになった。その目的で、大日本帝国を滅亡に導いた満洲事変以降の過程を理解すべく満洲国の金融史を研究し、同時に有効な貨幣理論を構築すべく複雑系科学に着手した。そこから人間が魂の自由を失い、ロボットとなったときに集団的暴走が起きると考え、モラル・ハラスメントを研究し、その具体的な様相として原発危機をめぐる「東大話法」の概念を提唱した。また、このような状態から離脱する道を探り、『論語』、『老子』、親鸞、マイケル・ジャクソンの思想、『星の王子さま』などを研究し、同様の観点からクラシック音楽の名曲を解読する作業を行った。この模索の結果、「神秘」を前提として語りうるもののみを語るというヴィットゲンシュタインの提案を真剣に受け止めるべきだと考え、「合理的な神秘主義」を提案した。現在はこのような線に沿った知性を実践的に回復する必要があると考え、前近代的な総合的知性を実現する道を探っており、音楽活動、絵画制作、ホースセラピーの実践などに取り組んでいる。本報告では、この過程を簡単にレビューしつつ、この後の方向を展望する。
担当:安冨