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東文研セミナー(漢字/帝国:文字の歴史人類学へ向けて)のご案内(7月10日)

東洋文化研究所外国人研究員として来日中の中谷一博士(マギル大学助教授、
美術史・コミュニケーション学科、東アジア学科兼任)をお招きして以下の通
り東文研セミナーを開催するはこびとなりましたので、お知らせいたします。

題目
漢字/帝国:文字の歴史人類学へむけて

報告者
中谷一(マギル大学助教授、美術史・コミュニケーション学科、東アジア学科兼任)

日時
2008年7月10日(木) 17:30より

場所
東京大学東洋文化研究所 第一会議室

要旨
ジャック・デリダの音声中心主義批判以来、書かれたものを「生きた」言葉に 対して本質的に劣ったものとするような見方は影を潜めてきた。人類学でも、ジャック・グディーやピエール・ブルデュー、日本では川田順造等の先駆的業 績以降、語ることと書くことをそれぞれ独自な秩序を形成するものとしてとらえ直そうとする優れた研究に事欠かない。しかしこうした西洋音声中心主義に 対する反省にもかかわらず、語られたものと書かれたものとの間にひかれた分割線それ自体の文化的・歴史的な局所性、つまりその分節の仕方そのものが特殊近代西欧的であるという可能性は大方不問に付されてきた。本研究では、中国における漢字の歴史的了解を対象に、文字とことばのこういった分節を再検討することをめざす。具体的には、近現代中国史にあらわれる漢字のさまざまな様態(白話運動・文字改革・現代アート等)を眺めながら、そこに垣間見られる漢字了解が我々の抱く「文字」の観念とは相当にずれているさまを検討し、その一見奇妙な文字把握の方がかえって伝統的な漢字観をより正確に近似している可能性を考えてみたい。こうした考察は中国における漢字観の歴史への方法的準備体操のようなものにすぎないともいえるが、同時にことばと文字の関係の歴史人類学的再考へむけてのささやかな第一歩ともなればよいと思う。

問い合わせ先:名和克郎 nawa[at]ioc.u-tokyo.ac.jp
登録種別:研究会関連
登録日時:Tue Jun 24 16:18:49 2008
登録者 :研究支援担当
掲載期間:20080624 - 20080710
当日期間:20080710 - 20080710