東文研班研究「往来型フィールドワークがつくる社会生活(主任:青山和佳教授)」の一環として昨年度から試みているワークショップが本年度も秋田公立美術大学にて行われた。
本年度は秋田公立美術大学の岸健太教授のアレンジのもと、青山和佳教授(東文研)、清水展教授(関西大、京大名誉教授)、受田宏之教授(東大総合文化)、藤岡洋助教(東文研)が参加しての全6セッションの構成であった。
第一セッションは今年度申請予定の科研プロジェクトの打ち合わせを行い、調査地研究をよりアートと人文知にフォーカスした形で具体化していく可能性が検討された。
第二セッションは主に第三、第四セッションの議論へのプロローグとして参加者の簡単な研究紹介がなされた。
第三セッションは今回特別に参加してくださった秋田公立美術大学助教で映画監督でもある石山友美氏の秋田8ミリフィルム・アンソロジーから選りすぐった映像を紹介いただいた。デジタル時代の映像に特徴的な「外部記憶」的性格と比較すると、アナログ時代の映像からは「外部思考」としての性格が浮かびあがる。8mmフィルム映像とデジタルビデオ映像との間に浮き彫りにされたこの差異は、今後の本研究班の研究にとっても新たな示唆となった。
第四セッションは卒業を控える秋田公立美術大学の学部生3名による発表があった。「秋田の中心市街地で◯◯する」という前期の第一課題の成果と第二課題の「産業の景観」への展望が紹介された。"風"や"(秋田にもある)有楽町","たたずみ"に注目するこれら研究は視点、取り組み方のユニークさとともに今後の研究成果が大変楽しみな発表であった。
第五セッションは第一セッションに引き続き科研申請に関するブレインストーミングを行った。今年度の文化人類学会でも一部話題になったという「AI」に時々抵触しつつも、アートと人文知の可能性を異化作用や倫理の視座から活発な意見を交わされた。
第六セッションでは、主に今年度の本班研究メンバーが中心となって取り組む『東洋文化』の内容/構成/今後の予定について、これまでのセッションを踏まえた意見交換を行った。ごく短時間になってしまったものの、最終セッションにふさわしい密度の濃い議論がなされた。
(文責:藤岡)
担当:青山