2020年12月19日(土)、東文研セミナー「第1回オスマン帝国史研究セミナー」がオンラインで開催された。
第1部では、長崎大学の岩本佳子氏が、「文書から何が分かるか?:ワクフ総局文書館所蔵命令台帳から見る母后ワクフと「徴税権の複相化」」と題して、ワクフ総局文書館所蔵命令台帳に記載されたオスマン語史料を、参加者とともに読みながら、母后ワクフの収入源に指定された遊牧民集団からの徴税をめぐってどのような問題が生じていたのかを読み解いた。
第2部では東京大学大学院の伊藤匠平氏が、主に新聞を史料として用いつつ、トルコ共和国成立直後に発生したオリエント鉄道の争議の性格を分析した。
参加者は約25名で、トルコからも留学中の大学院生の参加があったのはオンライン開催の長所であった。国内でも北海道から九州まで参加者が得られた。第1部では、参加者の中から指名して文書を読んでもらうという講読形式をとったが、指名された参加者(主に大学院生)はかなりよく読めていたという印象を受けた。第1部、第2部ともに活発な意見交換が行われた。
※このセミナーは、東京大学東洋文化研究所班研究「オスマン朝史料学の方法的課題」(主任:秋葉淳)と科研費基盤B「オスマン帝国における社会階層とジェンダーに関する国際共同研究」(20H01322、研究代表者:秋葉淳)の研究成果の一部である。
日時:2020年12月19日(土) 13:00〜17:30
場所:Zoom開催
プログラム:
第1部 13:00〜15:40
岩本佳子(長崎大学)
「文書から何が分かるか?:ワクフ総局文書館所蔵命令台帳から見る母后ワクフと「徴税権の複相化」」
第2部 16:10〜17:40
伊藤匠平(東京大学大学院修士課程)
「トルコ共和国初期における労働運動の性格と政治的影響に関する考察ー1923年のオリエント鉄道の争議を事例にー」
担当:秋葉