2024年1月23日(火)に東文研セミナー、ワークショップ "Japonya'da Sohbet-i Osmaniye-7" が開催された。 このワークショップは、オスマン帝国史を研究する日本国内の若手研究者と海外の第一線の研究者が一堂に会し、学術的対話と交流を図る目的で2009年以来企画されてきたものである。今回は2名の博士課程学生と1名のポスドク研究員が研究報告を行い、それに対してオスマン帝国のイェニチェリ研究を専門とするアクデニズ大学のギュライ・ユルマズ氏が応答するという形で進行した。
末森氏の報告は、主にヴェネチアに残る史料を用いて、17世紀における海上での略奪行為の処罰方法が同世紀の末頃から変化し始めることを論じ、相磯氏は、エーゲ海島嶼州に属するサンジャク(県)の軍政官らが編成するデルヤー・ベイ船団の役割について検討し、それが帝国艦隊への参加と沿岸地域の護衛という役割を負っていたことを述べた。岩田氏の報告は、18世紀のイスタンブルの船着場について、その空間的配置と社会経済的構造を明らかにしようとする博士論文の構想を述べたもので、数多くある船着場の全体像を俯瞰した上で、いくつかの船着場を例にとってギルドによる空間利用などについて論じた。
これらの報告に対してユルマズ氏からは、史料やタームの問題、先行研究との関わりなどの点からさまざまな質問が投げかけられ、議論が行われた。
日時:2024年1月23日(火) 16:00〜18:00
会場:東京大学東洋文化研究所第1会議室
プログラム:
末森晴賀 Haruka Suemori(日本学術振興会,東京外国語大学) Punishment of Harâmî at Sea in Ahdnâme and the Ottoman Criminal Law |
相磯尚子 Naoko Aiiso(慶應大学) The Derya Beyi Ships as the Ottoman Coast Guard in the Reign of Mehmed III and Ahmed I |
岩田和馬 Kazuma Iwata(東京外国語大学) Trade, Territory, and Guilds: A Spatial and Socio-Economic Analysis of Guilds' Trades in 18th Century Istanbul Wharves - Prospects for My PhD Dissertation |
討論者: ギュライ・ユルマズ Gülay Yılmaz(アクデニズ大学) |
司会: 秋葉淳(東京大学東洋文化研究所・教授) |
担当:秋葉