2011年1月28日(金)、京都大学人文科学研究所大会議室にて成均館大学東アジア学術院・東京大学東洋文化研究所・京都大学人文科学研究所共催による学術シンポジウム「東アジアにおける『知』の流通―近代を中心に―」が開催された。
今回で7回目を迎える成均館大学東アジア学術院と東洋文化研究所の研究者間の知的・人的交流を育んできたこの共催シンポジウムに、今回から新たに京都大学人文科学研究所が参加し3つの研究所の共催シンポジウムとして開催された。
羽田正東洋文化研究所所長の挨拶によって開会し、午前10時半から午後6時まで約7時間にわたって、以下6つの報告・コメント・議論が行われた。
◇李昇燁(京都大学)「第二次朝鮮教育令成立過程の再検討」
コメンテーター:李恵鈴(成均館大学)
◇車泰根(仁荷大学)「数の帝国~近代知の政治的算術」
コメンテーター:羽田正(東京大学)
◇板倉聖哲(東京大学)「伊藤若冲が見た東アジア~18世紀京都におけるイメージの流通」
コメンテーター:金文京(京都大学)
◇石川禎浩(京都大学)「清末排満主義と近代東アジアの人類学」
コメンテーター:大木康(東京大学)
◇大野公賀(東京大学)「民国期中国と日本の文化交流~弘一法師(李叔同)を中心に」
コメンテーター:陳在教(成均館大学)
◇韓基亨(成均館大学)「“不穏性”の創出と植民地出版警察~植民地社会の知識・情報流通のメカニズムと検閲」
コメンテーター:水野直樹(京都大学)
シンポジウム全体を通じて、日本の植民地統治(李報告、韓報告)、近代東アジアにおける西洋文明の受容過程(車報告、石川報告)、日中の文化交流(板倉報告、大野報告)という、大きく分けて3つのテーマが扱われた。近代東アジアにおいて西洋の「知」を受け入れることは、この地域に新しい発想と刺激をもたらしたが、それは同時に、新しい束縛をももたらすこととなった。この中で、東アジア各国がどのように自己形成を行い、あるいは葛藤を抱えることとなったのかについて、様々な側面から切り込み、議論する有意義な場となった。
羽田所長による開会の挨拶 | 羽田所長によるコメント |
大木教授によるコメント1 | 大木教授によるコメント2 |
大野特任准教授による報告 | 板倉准教授による報告 |
(開催告知ポスター クリックでpdfをご覧いただけます)