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国際シンポジウム「アジアにおける相互理解の発展に向けて――日本と台湾の東南アジア研究をめぐる対話――」が開催されました

  ジェトロ・アジア経済研究所、台湾アジア交流基金会が主催し、本研究所が協賛した国際シンポジウム「アジアにおける相互理解の発展に向けて――日本と台湾の東南アジア研究をめぐる対話――」が、2019年11月27日(水)に本研究所3階大会議室で開催されました。同シンポジウムは、アジア経済研究所と台湾亜洲交流基金会が協定締結したことを受け、協定締結の「産婆役」をした本研究所の園田教授が所属する新世代アジア研究部門が協賛した形で実施されることになりました。
  アジア経済研究所の深尾京司所長、台湾亜洲交流基金会の蕭新煌理事長による挨拶の後、佐藤百合・アジア経済研究所研究員による”The Development and Features of Japan’s Southeast Asian Studies”と題する基調講演と蕭理事長による”The Development and Features of Taiwan’s Southeast Asian Studies”と題する基調講演が、それぞれ行われました。佐藤研究員は100年近くに及ぶ日本の東南アジア研究を5つの時期に分け、その特徴を吟味しつつ、現在の日本の東南アジア研究の特長を(1)フィールドワークを重視した現地密着型の研究が多く、(2)歴史や経済に注目した領域で研究蓄積が多い点を指摘しつつも、(3)広域的な研究がさほど多くなく、(4)理論や概念提示型の研究が少ない点をその弱みだと看破しました。他方で蕭理事長は、(1)1990年代の李登輝政権による「南向政策」が台湾における東南アジア研究の嚆矢となり、その後の陳水扁政権、蔡英文政権が同種の政策を打ち出す中で研究が進んできたこと、(2) 比較研究や移民研究に台湾の東南アジア研究の特長が見られること、(3)東南アジア研究が純粋な他者研究だけでなく、台湾からの投資や人の移動も含めた自己研究をも含むものであることを指摘しました。
  佐藤幸人・アジア経済研究所研究員の司会のもと、ラウンドテーブルが行われ、政策大学院大学のKhoo Boo Teik教授が世界的な東南アジア研究の潮流を回顧しつつ、東南アジア研究が多くのチャレンジを抱えたものであることを指摘。明治学院大学の重冨真一教授は、戦後の東南アジア研究といっても、アジア経済研究所と京都大学とでは、その理論的なバックグラウンドや研究手法などに違いがあり、日本の東南アジア研究は一枚岩でないと述べました。園田教授は、日本や台湾にとって東南アジア研究は「他者研究」として理解されがちだが、今回の企画のように同じ東南アジアを研究している「観察者」の側に焦点を当てることで、地域研究が「観察する者とされる者の相互作用」によって作られていることがよくわかること、今後の地域研究ではますます観察する側の連携が必要とされるであろうことを指摘しました。
  一般参加者は63名に及び、「情報量が多くて有益だった」と好評を博しました。

プログラム・案内 : https://www.ide.go.jp/Japanese/Event/Sympo/191127.html


挨拶する深尾・アジア経済研究所所長

会場での聴衆の様子


登録種別:研究活動記録
登録日時:Tue Dec 3 16:15:57 2019
登録者 :園田・藤岡
掲載期間:20191127 - 20200227
当日期間:20191127 - 20191127