2011年に始まるアラブ革命は、この地域においてリベラリズムが持つ意味を問う大きな歴史的な機会となりました。とはいえ残念ながら、革命のその後の展開は、この思想の役割に期待を寄せていた人たちにとって失望を与える様相を呈していると言っていいでしょう。しかし、アラブ世界あるいは中東政治、現代イスラム思想をめぐる諸問題に対して、リベラリズムの歴史的意味を問うことは、同地域の政治が混迷の極点に向かうかのように語られる現在において、むしろますます重要性を帯びています。
水谷周氏の新著Makoto Mizutani, Liberalism in 20th Century Egyptian Thought, The Ideologies of Ahmad Amin and Husayn Amin, London: I.B. Tauris, 2014の刊行を期して、同書の内容を一つの起点とすることにより、以下のような内容の合評会をシンポジウムの形式で開催いたします。
関心ある多数の方々の参加をお待ちしています。
日時: 2015年2月20日(金) 13:30-17:30
場所: 東京大学 東洋文化研究所 3階大会議室
参加方法: 参加ご希望の方は下記メールにご連絡ください
junkoybn[at]ioc.u-tokyo.ac.jp [at]=@
※ 参加費無料
プログラム:
13:30~
趣旨説明・司会:長沢栄治(東京大学東洋文化研究所教授)
報告①:後藤絵美(東京大学東洋文化研究所助教)「水谷周氏の著作紹介―二人の「アミーン」の魅力」
報告②:飯塚正人(東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所教授)「近代エジプトにおける「リベラル・イスラーム」の思想と限界」
報告③:池田美佐子(名古屋商科大学教授)「エジプト立憲王制期の議会」
報告④:加藤博(一橋大学名誉教授)「イスラム教徒にとってのイスラムとは何か」
=休憩= 15:20~15:40
15:40~
講演:水谷周(日本ムスリム協会理事)「中東への日本のアプローチ―出版報告を兼ねて」
16:20~17:30
質疑と応答・総合討論
主催:
科研費基盤研究(A)「アラブ革命と中東政治の構造変容に関する基礎研究」(代表:東京大学 長沢栄治)