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2022年度 第2回 定例研究会「大越国の港とアジア海域の交易:ホイトン遺跡出土陶磁器から」菊池百里子助教(着任研究会)が開催されました

報告

 2022年7月21日(木)14時より、菊池百里子助教による2022年度 第2回 定例研究会(着任研究会)「大越国の港とアジア海域の交易:ホイトン遺跡出土陶磁器から」がZoomによるオンラインで開催された。38名の参加者があり、これまでベトナムの貿易港の考古学的研究をしてきた菊池助教は、海域アジア交易ネットワークにおいて大越国の各港がどのような役割を果たしてきたのかという問題意識に基づき、ホイトン遺跡での発掘調査の成果をまとめ、ヴァンドン遺跡出土陶磁器と比較しながら、貿易港会統の特徴を分析した。さらに、ベトナムの港遺跡における考古学調査の今後の展開についても紹介した。
 また、補足として日本におけるURAという職種について紹介した。
 講演後には菊池助教と参加者との質疑応答も行われた。

当日の様子

開催情報

日時:2022年7月21日(木)14時~16時

会場:オンライン(Zoomミーティング)

題目:大越国の港とアジア海域の交易:ホイトン遺跡出土陶磁器から

発表者: 菊池百里子(東京大学東洋文化研究所・助教)

司会:桝屋友子(東京大学東洋文化研究所・教授)

使用言語:日本語

要旨:
インドシナ半島の東岸部を占めるベトナムは、東西交易、いわゆる「海のシルクロード」の要衝であった南シナ海に面する。ベトナムの地は、真珠や象牙、香木といった交易品の宝庫であり、後背地の森林生産物を海域へ運ぶ河川の河口付近には、多くの港が開かれていった。同時に、その沖に浮かぶチャム島やリーソン島、コンダオ群島、フークォック島などは、古くから航海上の目印として、あるいは食糧や真水の補給地として知られ、南海の物産を求める船舶がベトナムの地へ寄港していた。

本研究は、ベトナムの地とアジア海域の各地を行き交った交易品、特に陶磁器や銅銭について、その生産・流通・消費地遺跡において考古学的調査を実施し、出土資料や共伴する各国の交易品との比較研究をすすめることで、大越国の交易活動やアジアの交易ネットワークの歴史的変遷を可視化するものである。
本報告では、ベトナム各地の港遺跡(ヴァンドン、フォーヒエン、ホイトン、ホイアン、バイラン、ヌックマンなど)について概観したのち、近年実施しているベトナム北中部のホイトン(会統)遺跡における考古学調査で出土した陳朝から黎朝期のベトナム陶磁器や中国陶磁器について紹介する。また、同時期の港である北部のヴァンドン(雲屯)遺跡で出土した中国やベトナムの陶磁器資料と比較し、各港の特徴を提示する。同時に、日本やインドネシア、ラオスなど、アジア各地の消費地遺跡から出土した陶磁器とも比較し、相互に関連づけることで、考古学的資料に裏付けられたモノの流れと、その交易の様相を考察する。

担当:菊池



登録種別:研究活動記録
登録日時:TueAug212:10:402022
登録者 :菊池・田中・田川
掲載期間:20220803 - 20221103
当日期間:20220721 - 20220721