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2018年度 第2回 定例研究会「章回小説と商業出版——百回本『西遊記』の成立と展開を軸に——」が開催されました

報告


 2018年9月13日(木)14時より、2018年度第2回定例研究会が大会議室にて開催された。発表者は上原究一准教授で、「章回小説と商業出版——百回 本『西遊記』の成立と展開を軸に——」と題する研究報告が行われた。約30名あまりの参加者があり、明代・清代の中国で編まれた章回小説の版本問題をめぐって活発な議論が展開された。

当日の様子

開催情報

日 時: 2018年9月13日(木)14:00-16:00

会 場: 東京大学 東洋文化研究所 3階 大会議室

題 目: 章回小説と商業出版——百回本『西遊記』の成立と展開を軸に——

発表者: 上原 究一(東洋文化研究所・准教授)

司 会: 板倉 聖哲(東洋文化研究所・教授)

使用言語:日本語

概要:
  発表者のこれまでの研究は、客観的には大きく2つのテーマに分けられるように見えるかもしれない。即ち 、明代・清代の中国で編まれた章回小説の諸作品の版本問題についての研究と、明末清初の中国の商業出版界の様相についての研究とである。しかし、発表者の主観的な問題意識の 上では、どちらも章回小説の代表的な作品のひとつである『西遊記』について研究するための必要から生じた、言わば副産物的なテーマであった。これらが『西遊記』研究において どのように結実するかは発表者の博士論文において示したつもりであるが、それを元にした著書の執筆を計画していることもあり、発表者がこれらのテーマを追求するようになった いきさつを、本発表の前半で改めて振り返りたい。
 本発表の後半では、章回小説の版本問題についての研究の具体例として、東京古典会平成29年度古典籍展観大入札会 に『出像西遊記』1冊として出品された本の詳細な書誌情報を紹介する。巻17のみを存する(それも冒頭と末尾のそれぞれ数葉は欠く)この本は、民国期の作家で蔵書家としても知 られる阿英(1900-1977)の旧蔵であるらしく、従来3本しか現存が確認出来ていなかった〔万暦20年代初〕熊雲濱覆世徳堂刊本『新刻出像官板大字西遊記』20巻百回の第4の伝本 であり、他のどの伝本よりも印刷が遅い。この本を通して版本研究の意義と必要性を確認した上で、発表者の今後の研究の方向性を示したい。

担当:上原



登録種別:研究活動記録
登録日時:ThuSep2011:16:412018
登録者 :上原・藏本・藤岡・野久保(撮影)・田川
掲載期間:20180920 - 20181213
当日期間:20180913 - 20180913