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平成18年度第5回定例研究会のご案内

「歴史」をつくる人びと—異質性社会のレジティマシー—

日 時:11月16日(木)午後2時〜4時
場 所:東京大学工学部8号館7階会議室

報告者:菅豊(東京大学東洋文化研究所)
司 会:玄大松(東京大学東洋文化研究所)
討論者:井上真(東京大学大学院農学生命科学研究科)

【報告要旨】
 石川県加賀市の片野鴨池は、数百年にわたって利用されてきたコモンズである。ここには、300年もの前に武士によって考案されたとする「歴史」を持つ「伝統」狩猟が伝承されている。しかし、武士が創出したとされるこの狩猟の「歴史」は、実は、明治期に旧・武士(士族)が狩猟継続のレジティマシーを獲得するために構築した「歴史」であった。この「歴史」は、いまも「歴史」としてあり続けているが、しかし、それは、猟師のみならず、環境保全をめざす人びとによっても使われている。それは、ラムサール条約などグローバル・ポリティクスの影響を受けながら、「300年間利用をしながら環境を守ってきた」という「歴史」に転換され、現代的な環境保全のレジティマシーを生み出す歴史言説として再構築されている。
 本報告では、このような「歴史」の構築が、コモンズをめぐるアクターの異質性(heterogeneity)の増大にともなう過程で生起したものであり、それが現在、異質性によって生じたコモンズの軋轢や葛藤を「落ち着かせる」原動力となっていることを明らかにする。


平成18年10月5日
東京大学東洋文化研究所
研究企画委員会

登録種別:研究会関連
登録日時:Thu Oct 5 09:36:11 2006
登録者 :研究協力係
掲載期間:20061005 - 20061116
当日期間:20061116 - 20061116