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第二回・東文研/国際学術セミナー
「富山妙子と炭鉱、ラテンアメリカへの旅-上野英信の光と影を照射する―」

趣旨

  このたびは科研セミナーの一環として、ブラジル在住の映像作家・岡村淳監督をお招きして、ドキュメンタリー作品「消えた炭鉱離職者を追って・サンパウロ編」(2013年)を上映する運びとなりました。これは1974年に筑豊からの炭鉱離職者を追って200日間にわたり中南米4か国を取材し、77年に大著『出ニッポン記』を上梓した上野英信に師事した犬養光博牧師が、ブラジルに上野の足跡を追う姿を収めたもので、小説家の星野智幸は本作品について「崇拝の言葉しか聞かなかった上野英信について、信者ともいえる犬養牧師は、強烈な相対化をしながら、相対化してもしきれない上野英信の神髄に迫っていく。」としながらも、さらに「岡村作品のすごいところは、そこで終わらないところだ。そんな犬養牧師をも、映画は相対化してしまう。」と評価しています(http://hoshinot.asablo.jp/blog/2014/04/)。
  岡村監督はまた2013年に富山妙子にも取材しており、未公開の証言を引き出した貴重な映像を所蔵しています。富山は上野に10年以上も先立つ61年に炭鉱離職者を追って中南米諸国を旅し、キューバ革命にも遭遇しました。彼女の語りには上野英信という存在じたいをも相対化する起爆力が秘められています。
  本科研プロジェクトでは岡村監督に依頼して、富山の未公開映像をまとまった作品として完成させることで、グローバル・ヒストリーのなかに画家の存在と作品世界の意味を位置づけ直し、上野英信をはじめとするさまざまな「神話」を相対化することを目指しています。本セミナーでは「消えた炭鉱離職者を追って・サンパウロ編」上映後、富山妙子未公開映像の一部を紹介しながら、岡村監督によるトークイベント、およびフロアとの忌憚のないフリートークの時をもちたいと考えています。

開催日時

日時:2018年11月10日㊏ 13:00~17:00

場所:東京大学東洋文化研究所 大会議室(3階)

プログラム
13:00~15:00 「消えた炭鉱離職者を追って・サンパウロ編」上映
15:00~15:15 休憩
15:15~16:00 富山妙子未公開映像の一部紹介、岡村淳監督によるトーク
16:00~17:00 フリーディスカッション

岡村淳監督プロフィール
記録映像作家。在ブラジル。1958年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒(縄文文化研究)。1982年、日本映像記録センター入社。「すばらしい世界旅行」等の番組ディレクターを務める。1987年、フリーとなりブラジルに移住。小型ビデオカメラによる単独取材と自主制作を継続中。
著書に『忘れられない日本人移民 ブラジルに渡った記録映像作家の旅』(「港の人」)がある。


参加費無料、事前予約は不要です。
どなたでもご参加いただけます。

問い合わせ先:真鍋祐子(manabe[at]ioc.u-tokyo.ac.jp、[at]を@にしてご使用ください)

主催:「富山妙子の芸術と思想」研究会(旧「富山妙子コレクション」研究会)
科学研究費・挑戦的研究(開拓)「越境する画家、越境する作品世界―富山妙子の軌跡と芸術をめぐる歴史社会学的研究」(課題番号17H06180)

担当:真鍋



登録種別:研究会関連
登録日時:ThuOct1109:57:032018
登録者 :真鍋・藤岡
掲載期間:20181011 - 20181110
当日期間:20181110 - 20181110