「自己点検評価セミナー」の開催のご案内
東洋文化研究所では、一定の年齢に達した教員が自身のそれまでの研究業績を総括し、今後の研究活動の方向について語る「自己点検評価セミナー」を、本年度から実施することにしました。第1回は、池本幸生教授に以下の要領でお話し頂きます。このセミナーへの参加は自由です。
- 日時:
- 2011年12月15日(木)午後2時~4時
- 場所:
- 東京大学東洋文化研究所3階 大会議室
- 報告題目:
- 『正義のアイデア』とケイパビリティ・アプローチの有効性について:過去30年間の研究を振り返って
- 報告者:
- 池本 幸生(東京大学・東洋文化研究所・教授)
- 司会者:
- 羽田 正(東京大学・東洋文化研究所・教授/所長)
- コメンテーター:
- 松井 範惇(帝京大学・経済学部・教授)
松井 健(東京大学・東洋文化研究所・教授) -
- 報告概要:
- 池本がこれまで約30年に亘って行なってきた研究をケイパビリティ・アプローチを軸に整理することを通して、ケイパビリティ・アプローチの有効性について論じてみたい。
大学で経済学を学び始めたとき、「分配と経済成長」が研究テーマだった。大学卒業後は「所得格差と経済成長」が研究テーマとなり、さらに地域研究的手法を学んだ後、貧困問題を研究し始めたとき、所得アプローチの限界を感じた。たまたま、アマルティア・センの『不平等の再検討』を翻訳し、ケイパビリティ・アプローチがどういう意味を持つのかもよく分からないまま、貧困問題にケイパビリティ・アプローチを応用しようとした。このアプローチを、貧困以外の他の分野でも使ってきたが、それをセンがどう位置づけているのかを理解できたのは『正義のアイデア』を翻訳してからである。
ケイパビリティという概念が広く知られるようになった今も、あまりにも誤解され過ぎているように思われる。今後は、ケイパビリティ・アプローチの応用とともに、その正しい理解を広めることに努力したい。
登録種別:研究会関連
登録日時:Thu Dec 8 16:24:19 2011
登録者 :池本・秋山・藤岡
掲載期間:20111208
- 20111215
当日期間:20111215
- 20111215