日時 / Date: 2015年1月15日(木)14:00-16:00 / 2:00 - 4:00 pm on Thursday, 15th January 2015
会場 / Venue :東京大学 東洋文化研究所 3階 大会議室 / Conference room 303 (3rd floor), Institute for Advanced Studies on Asia, The University of Tokyo
題目 / Title :一本の手稿本から広がる世界:私と15世紀イラクのある手控帳とのつきあい
発表者 / Speaker :森本 一夫(東洋文化研究所・准教授) / Kazuo MORIMOTO (Associate Professor, IASA)
コメンテーター / Commentator :馬場 紀寿(東洋文化研究所・准教授) / Norihisa BABA (Associate Professor, IASA)
司会 / Chairperson:鎌田 繁 (東洋文化研究所・教授) / Shigeru KAMADA (Professor, IASA)
使用言語 / Language: 日本語 / Japanese
概要 / Abstract:
英国図書館所蔵手稿本Or. 1406は,15世紀第三四半期のイラクでムハンマド一族を専門とするある系譜学者の手になったと考えられるアラビア語の稿本である。この系譜学者が自らの関心に応じて小作品や断簡を書き写すうちに成立したもので,「手控帳」と呼ぶのがふさわしい。発表者はこれまでに,この稿本に記されたいくつかのテクストや系図が,14-15世紀の西アジアや中央ユーラシアの歴史を考える上で重要な情報を含むものであることを明らかにし,発表してきた。とはいえ,発表者が1993年の冬に初めてこの稿本と出会ったときには,それらのテクスト・系図の重要性はまったく理解することができなかった。この稿本の重要性は,発表者自身の研究と関係の研究者コミュニティにおける研究との両方が徐々に進展していくなかで,少しずつ発表者に理解されるようになったのである。この発表では,この稿本の専門研究上の価値だけでなく,そうした価値を発表者が見出してきた過程についてもお話ししたい。
担当: 森本 一夫