講演は2017年に黄氏が福州で撮影された壺江島や五虎門の印象的な光景からはじまり、琉球絵画の発展について、自了(城間清豊)、そして孫憶から呉師虔(山口宗季)、殷元良(座間味庸昌)、呉著温(屋慶名政賀)へと、図像の転用、版本との関係などから詳細に説明された。また朱鶴年「奉使琉球図卷」の実景描写について『中山伝信録』との関係から述べられ、近年返還されて話題となった「御後絵」についても、従来までの皇帝像、祖先像に加え、民間神像との構成上の類似が指摘された。そして将来の展望として、琉球絵画を東アジア地域へとひらき、ジグゾーパズルのように地域間のピースを埋めていくことの重要性が今後の展望として述べられた。最後に、首里城復元にあたって琉球国王の玉座である御差床を制作したのが台湾の葉経義氏であったことにも触れられ、今も続く琉球と台湾の密接な関係が強調された。続く質疑応答では、琉球絵画の規範性の成立過程や、京都・江戸における評価の問題、また台湾での文化財保存修復の現状や琉球文化財の保存についてなど、多様な話題が活発に議論された。
東洋文化研究所では、このたび黄立芸氏(台北芸術大学美術学系副教授、東洋文化研究所訪問研究員)をお招きし、下記のとおり研究会を行うこととなりました。東アジア絵画史から琉球絵画に関する最新の研究成果をご披露いただき、議論する時間を持ちたいと思います。ひろく東アジア美術史、海域交流史にご関心をお持ちの皆様の参加をお待ちしております。
題目:「海のかなたー東アジア海域交流の視点から琉球絵画と図像を考える」
講演者:黄立芸氏(台北芸術大学美術学系副教授、東洋文化研究所訪問研究員)
講演者紹介:東京大学大学院人文社会系研究科博士(美術史学)、東アジア絵画史、中国絵画史、中日絵画交流、花鳥画研究。著作に『越境的花鳥 : 呂紀與十五、十六世紀東亞的四季花鳥圖』(石頭出版、2023年)、論文に「來自江南的來舶畫人:東亞繪畫史視野中的張莘花卉圖」(『故宮學術季刊』2025年第42卷第3期)、「朱鶴年「奉使琉球図巻」(沖縄県立博物館・美術館蔵)について」(『国華』1483号、2019年)、「琉球畫家殷元良(座間味庸昌、1718-1767)的中國繪畫學習」(『藝術學研究』16期、2015年)、翻訳に 小川裕充『臥遊-中國山水畫的世界』(石頭出版社,2017)等がある。
日時:2025年8月18日(月) 18:00〜20:00
会場:東京大学東洋文化研究所3階第一会議室
参加方法:対面のみ(直接お集まりください)
司会:板倉聖哲(東洋文化研究所)