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第1回定例研究会「時空間の民族誌的研究における言語情報の扱いについて -ネパール、ビャンスの事例から」が開催されました

第1回定例研究会「時空間の民族誌的研究における言語情報の扱いについて -ネパール、ビャンスの事例から」

日時: 2013年7月18日(木)14:00-16:00

会場:東京大学 東洋文化研究所 3階 大会議室\

題目:「時空間の民族誌的研究における言語情報の扱いについて -ネパール、ビャンスの事例から」

発表者:名和 克郎(東洋文化研究所・准教授

司会:池本 幸生 (東洋文化研究所・教授)

コメンテター:松井 健(東洋文化研究所・教授)

使用言語: 日本語 

担当: 名和

報告:
  2013年7月18日(木)の午後、今年度最初の定例研究会が開催され、名和克郎准教授(東洋文化研究所汎アジア研究部門)による「時空間の民族誌的研究における言語情報の扱いについて -ネパール、ビャンスの事例から」と題する研究報告が行われた。
  名和氏は、言語情報を扱った民族誌的研究の問題点として、既往の研究では(1)時空間に関わる象徴的な研究と、語彙や文法に関する研究が分離しがちである、(2)時空間をめぐる議論が抽象的な枠組や図式、あるいは語彙リストの提示に終始し、人びとが日常的に言語を用いて構成しているはずの時空間について検討がなされていないことが多い、という二点を指摘した。その上で、名和氏はネパールのビャンスの事例について、既往研究の課題を乗り越える形での記述と分析を試みた。
  発表では、まずチベット国境付近にあるビャンス地方の自然環境や土地利用、時空間に関わるビャンシー語の語彙や表現法、文法上の決まりについて概観した。そして、セーヤーモと呼ばれる葬送儀礼に注目し、その儀礼中に使用される言語表現を詳細に検討した。その結果、儀礼の進行役は死者を弔う儀式のなかで人びとが移動中に行う儀礼的行為や具体的な地名を数多く語っていることがわかった。この事実を踏まえ、地域で共有された時空間概念と実体験を基盤とした語り、そして言語上の仕組みとが総体となって、儀礼参加者は死者の葬送をよりリアリティのあるものとして捉えることができるのではないかと結論付けた。
  その後、松井健教授(東洋文化研究所汎アジア研究部門)によるコメントが行われ、「リアルな感覚」と言語表現との関係性、ビャンスの事例を扱うことの特異性、葬送儀礼としてのセーヤーモの一般性、葬儀をリアルに感じることの意義などが議論された。当日は約25名の参加者を交えて、活発な議論が行われた。


第1回定例研究会「時空間の民族誌的研究における言語情報の扱いについて -ネパール、ビャンスの事例から」

第1回定例研究会「時空間の民族誌的研究における言語情報の扱いについて -ネパール、ビャンスの事例から」

第1回定例研究会「時空間の民族誌的研究における言語情報の扱いについて -ネパール、ビャンスの事例から」

第1回定例研究会「時空間の民族誌的研究における言語情報の扱いについて -ネパール、ビャンスの事例から」

第1回定例研究会「時空間の民族誌的研究における言語情報の扱いについて -ネパール、ビャンスの事例から」

第1回定例研究会「時空間の民族誌的研究における言語情報の扱いについて -ネパール、ビャンスの事例から」

第1回定例研究会「時空間の民族誌的研究における言語情報の扱いについて -ネパール、ビャンスの事例から」

第1回定例研究会「時空間の民族誌的研究における言語情報の扱いについて -ネパール、ビャンスの事例から」

第1回定例研究会「時空間の民族誌的研究における言語情報の扱いについて -ネパール、ビャンスの事例から」

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第1回定例研究会「時空間の民族誌的研究における言語情報の扱いについて -ネパール、ビャンスの事例から」



登録種別:研究活動記録
登録日時:Thu Aug 1 10:58:25 2013
登録者 :名和・後藤・野久保(撮影)・藤岡
掲載期間:20130718 - 20131018
当日期間:20130718 - 20130718