2014年1月24日に、“Middle Class and Social Change in Contemporary China”と題された国際ワークショップが実施されました。園田茂人教授の科研費プロジェクト「時系列データの蓄積から社会変動モデルの構築へ:中国第三次四都市調査の挑戦」(基盤(A)、課題番号25243001)による主催、本研究所と本学社会科学研究所現代中国研究拠点の共催という形態をとりましたが、具体的なプログラムは以下の通りです。
14:30-14:40 | Greetings from Prof. Shigeto Sonoda (University of Tokyo) |
14:40-15:30 | Prof. David S.G. Goodman (University of Sydney) “Middle Class China: Dreams and Aspirations” |
15:30-16:20 | Dr. Minglu Chen (University of Sydney) “China’s Private Entrepreneurs and the Party-state: Mutual Dependence and Political Institutionalization” |
16:20-17:10 | Prof. Shigeto Sonoda (University of Tokyo) “Reexamining Myth of Social Volcano: Challenges and Attainments of Chinese Four-city Survey, 1997-2006” |
17:10-17:30 | Discussion |
シドニー大学のD・グッドマン教授は、(1)中国における中産階級をめぐる議論の多くは政治的言説としての特徴が強く、必ずしも現実を反映した概念構成となっていないこと、(2)内部に多様性を孕んだ中産階級の実態化は難しいものの、(3)総じて体制変動を指向しない政治的性向が見られる点などを指摘しました。
シドニー大学の陳明璐講師は、みずからのインタビュー成果をもとに、中国の私営企業家と党・国家の関係について、(1)党の側は彼らの取り込みを図っており、(2)私営企業家は、みずから党員になるケースは少ないものの、(3)それ以外のルートを通じて党・国家との関係を個人的に利用しようとする傾向があることなどを指摘しました。
本研究所の園田茂人教授は、天津での時系列調査の結果分析をもとに、(1)所得格差に対する憂慮は高まっているものの、(2)総じて自らの生活には満足しており、(3)それぞれ異なる理由から、天津在住の異なる社会集団も、体制変動を望まない特徴がみられることなどを指摘しました。
総合討論では、調査結果に与える地域的違いやメチィアの中国政治に与える影響、具体的な質問票におけるワーディングの問題などが取り上げられ、活発な意見交換が行われました。グッドマン教授からは、今後、共同研究をいっそう進めていくべきだとの提案がなされるなど、実りの多い会合となりました。
担当: 園田
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