東京大学東洋文化研究所班研究「イスラーム美術の諸相」は、以下の要領で、東文研セミナーを開催いたします。
『サファヴィー朝工芸史研究のいま』と題する本セミナーでは、サファヴィー朝期にイランで製作された工芸品が、他地域に伝わることで、どのような目的で使用されるようになったのか?という問題について具体的な作品例を元に検証します。参加自由、事前登録不要です。皆様のご来場を心よりお待ちしております。
日時:2018年12月14日(金)14:00~17:30
場所:東京大学東洋文化研究所3階大会議室
発表題目:
「近世渡来のサファヴィー朝染織品について」
阿部克彦(神奈川大学准教授、東洋文化研究所私学研修員)
「近世においてイラクのシーア派聖人廟に寄進されたイラン製工芸品について」
神田 惟(東京大学東洋文化研究所特任研究員、教養学部非常勤講師)
発表要旨:
「近世渡来のサファヴィー朝染織品について」
阿部克彦(神奈川大学准教授、東洋文化研究所私学研修員)
桃山から江戸時代にかけて日本に渡来した染織品の中には、サファヴィー朝期のイランで制作された作例が数多く伝世している。なかでも絹織物は、いわゆる「名物裂」や衣服・布地など様々なかたちで残されており、その分類や体系的研究は緒についたばかりである。本発表では、渡来したサファヴィー朝染織品を概観した上で、年代や制作背景、また、技術的特徴と美術史上の位置付けなどを、それぞれの研究上の課題に言及しながら考察する。
「近世においてイラクのシーア派聖人廟に寄進されたイラン製工芸品について」
神田 惟(東京大学東洋文化研究所特任研究員、教養学部非常勤講師)
大英博物館における『シャー・アッバース』展(2009年)、『ハッジ』展(2012年)の開催以降、ムスリム社会の中核を占める巡礼・参詣の文化について、関連美術作品から考証する研究が進展しつつある。本発表では、史料的制約から従来あまり考察されてこなかった、近世におけるイラクのシーア派聖人廟への寄進の実態について、①カーズィマインのムーサー廟に寄進された金属製燭台2点および②ナジャフのアリー廟に寄進された墓用覆布1点の銘文を解読・分析することで、その一端を明らかにする。
主催:東京大学東洋文化研究所班研究「イスラーム美術の諸相」
問い合わせ先:masuya(at)ioc.u-tokyo.ac.jp
担当:桝屋