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センターセミナー「インドネシアのエリート学生は、中国やアジア、世界をどのように見ているか?/How are Indonesian Elite Students looking at China, Asia, and the World?」が開催されました

報告

 2019年4月26日(金)の午後1時から3時すぎまで、東洋文化研究所3階第二会議室にて「インドネシアのエリート学生は、中国やアジア、世界をどのように見ているか?」と題するラウンドテーブル・セミナーが開催されました。同セミナーは、科研費プロジェクト「中国台頭の国際心理」(基盤(B)、研究代表:園田茂人)との共催で、コメンテーターのエヴィ・フィトリアニ・インドネシア大学社会政治学部教授(国際関係論)を招いて、最新のアジア学生調査のデータをもとに、議論が行われました。
 最初に司会の園田茂人教授からフィトリアニ教授の紹介があり、その後、フィトリアニ教授から、アジア学生調査第三波調査のインドネシアでの実施プロセスについて紹介がありました。その後、園田教授から、国際関係に絞ったインドネシアの特徴について紹介がなされました。具体的には、(1)インドネシア学生は、総じてアメリカよりも中国の影響を肯定的に捉える傾向がある、(2)既存の秩序に対して中国がチャレンジしているといった評価は弱く、周辺国とは平和的な関係を維持しようとしていると考えているが、この点では、他のASEAN諸国の結果と異なる、(3)アジアの秩序維持にアメリカ軍の存在がさほど大きいとは考えておらず、他のアジア諸国とは異なっているといった知見を紹介しました。
 フィトリアニ教授はこれに対して、(1)華人がインドネシア経済を支配してきたため、中国にはアンビバレントな感情を抱いていること、(2)インドネシアではもともとアメリカに対する不信感が強く、特にその反イスラム的な姿勢を嫌っていること、(3)中国の一帯一路政策が経済的便益をもたらしてくれるだろうとする期待とともに、海洋主権の問題などでぎくしゃくしつつあり、学生は、そのあたりにも敏感に反応した形になっていること、などを指摘しました。
 フロアからは、世論が与える政策へのインパクトや、イスラム国であるがゆえにもつ政治的指向、最近起こりつつある反中国的感情などについて質問やコメントがなされました。今後、アジア学生調査の分析を深めるにあたって、インドネシア大学との協力は不可欠で、その意味でもフィトリアニ教授を囲んだラウンドテーブル・セミナーは実に時宜にかなったものでした。

当日の様子


コメントをするフィトリアニ教授

フロアの様子

開催情報

 東洋文化研究所東洋学研究情報センターは、科研費プロジェクト「中国台頭の国際心理」(基盤(B)、研究代表:園田茂人)との共催で、以下の要領でラウ ンドテーブル形式の報告会を行うことになりました。アジア学生調査の最新データが検討される貴重な機会ですので、ふるってご参加ください(使用言語は英語)。

日時:2019年4月26日(金) 午後1時~3時

会場:東洋文化研究所3階第二会議室

題目:インドネシアのエリート学生は、中国やアジア、世界をどのように見ているか?

司会:園田茂人(東京大学東洋文化研究所教授:比較社会学)

コメンテータ-:エヴィ・フィトリアニ(インドネシア大学社会政治学部教授:国際関係論)

担当:園田



登録種別:研究活動記録
登録日時:SatApr2713:25:522019
登録者 :園田・藤岡
掲載期間:20190426 - 20190726
当日期間:20190426 - 20190426