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平成11年度第3回東洋文化研究所定例研究会

一般名詞としての「律令」
——法典編纂史再考——

報告者:陶安あんど(東洋文化研究所研究員)
司会者、高見沢磨(東洋文化研究所助教授)
討論者、滋賀秀三(東京大学名誉教授)
日時 :1999年10月14日14時より
会場 :東洋文化研究所・三階大会議室

旧中国では、法典の名称として前代の概念を工夫して使用すること、或は法典の篇目体系まで再利用することがしばしば見受けられる。その傾向は、帝国時代を通じて律令の伝統が綿々と続くかの印象を与える。考え方によっては、旧中国の法律制度は変化に乏しく、停滞性の強い法制と解される可能性も否定できない。本報告ではその連続性のベールを破り、理念的な連続性の背後に潜む法実践の流動的な側面に新たな照明を当てようと考える。考証は以下の三点を中心とする。
・漢代律令に関して我々が現に有する知識は、後漢末から晋代に亙る活発な立法活動に伴う漢代法制史料の整理事業によって歪められているのではないか。
・隋唐の律令は、晋制との連続性よりも、北魏における伝統の断絶と再構築によって決定的に性格付けられたのではなかろうか。
・宋代の勅令格式は、律令格式との表面的な類似性にもかかわらず、むしろ明代以降の二元的な律例体系の本質的な所を先取りして体現しているのではなかろうか。
与えられた時間内には、考証が或は漢令の問題に終始するかもしれないが、目標としては通史的な再考を試みたいと思う。


登録種別:研究会関連
登録日時:Mon Sep 27 15:26:16 1999
登録者 :研究交流委員会
掲載期間:19990921 - 19991014
当日期間:19991014 - 19991014