「グローバルヒストリーにおけるスケール(長さ・大きさ・規模)の問題 Question of Scale in Global History」を全体テーマとする第1回GHC(Global History Collaborative)サマースクールが、9月6日(日)から12日(土)までの1週間、東洋文化研究所(6日~10日)と北海道大学文学研究科(11、12日)を会場として開催されました。これは、日本学術振興会研究拠点形成事業の支援を受ける「新しい世界史/グローバルヒストリー共同研究拠点の構築(GHC)」が企画し、主催したもので、プリンストン大学(米)、社会科学高等研究院(仏)、ベルリン・フンボルト+自由大学(独)と東京大学拠点から各3人の教員と4~7人の大学院生が参加しました。二つの大学間での共同サマースクールはしばしば開催されますが、異なる国に位置する4つの機関が協力して、30人以上の教員と学生が参加する国際サマースクールを開催するのは、少なくとも、グローバルヒストリーの分野ではこれが世界で初めてです。
スクールに参加する大学院学生は、時間、空間、主題という3つの観点におけるスケールを意識しながら作成した自らの博士論文の概要をあらかじめ提出しており、参加者は、20人の大学院学生の論文を順次取り上げて、その枠組みや問題設定、構成、議論の立て方、資料の扱い方など、主として歴史研究の方法論に関して、朝9時から昼食休憩をはさんで夕刻まで徹底的な議論を行いました。博士論文のテーマは、モンゴル時代史から現代のアメリカやブラジルにおけるDNAによる「ルーツ」探しの流行に至るまで様々で、参加者は各論文の内容とそれに関する議論から大きな学問的刺激をうけながら、グローバルヒストリーに関する新しい視角や研究方法を集中的に学ぶことができました。最終日には全員で北海道博物館とアイヌ博物館を訪れ、日本という国民国家の成立とアイヌの歴史について、理解を深めました。
東京では、日本人学生も含む学生全員が日本式旅館に宿泊して相部屋で過ごすなど、学生たちは1週間文字通り寝食を共にしました。このため、全員が強い友情と仲間意識で結ばれるようになり、最終日にはあちらこちらで別れを惜しみ再会を誓う姿が見られました。スクールに参加した教員と学生の満足度はきわめて高く、今回のサマースクールは、はじめての試みとしては十分な成功を収めました。来年の第2回サマースクールは、プリンストン大学で開催される予定で、GHCでは次回スクールへの参加者を近く公募する予定です。
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