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「ヘッジングを超えて? トランプ2.0時代におけるインド太平洋政治の再編成とそれへの東南アジア諸国の対応」のご案内

セミナー案内 

東京大学東洋文化研究所と東京大学未来ビジョン研究センター安全保障研究ユニットの共催セミナーを以下の通り開催いたします。皆様のご参加をお待ちしております。

講演題目: 「ヘッジングを超えて? トランプ2.0時代におけるインド太平洋政治の再編成とそれへの東南アジア諸国の対応」

講演者: クイック・チェン-チュウィ 教授 (マレーシア国民大学マレーシア国際問題研究所/京都大学国際交流基金JFSEAP客員フェロー)(略歴は以下を参照)

日時:2025年10月22日(水)午後3:00-5:00(JST)

会場:東京大学東洋文化研究所 大会議室 & Zoom(ハイブリッド形式)

使用言語:英語

討論者:
討論者1: 佐竹 知彦 准教授 (青山学院大学国際政治経済学部)

討論者2: ロート・アントワン 特任フェロー (東北大学大学院法学研究科)

司会: 佐橋 亮 教授 (東京大学東洋文化研究所)

参加登録:こちらのフォームよりお申込みください。

講演要旨 :
トランプ2.0政権の登場以来、米国の予測不可能性の高まりと中国の影響力拡大という二重の構造的要因により、インド太平洋全域において関係の再編成が複数生じている。そして現在進行中の再編には、以下が含まれている。

(a) 米国中心の同盟関係およびミニラテラル(少数国間)連携(QUADとAUKUS)を取り巻く不確実性の増大

(b) 地政学的対立の両軸における他のミニラテラルおよびマルチラテラル(多国間)枠組みの勢いの拡大(例えば、一方ではNATOと連携するインド太平洋4カ国パートナー(IP4)、他方では中国・ロシアが支援するSCOやBRICSプラスなどの枠組み)

(c) 「同志国」の枠内外における多方向的、多層的パートナーシップへの機運の高まり

この多方向的パートナーシップは、アジアおよび域外の米国の同盟国間の二国間・三国間協調のネットワーク、インド太平洋の大国と東南アジア諸国との間で強化された複数の二国間パートナーシップ(例えば日本と複数の東南アジア諸国とのOSA)の組み合わせ(一部は2+2メカニズムを含む)、東南アジア諸国とパートナー国(民主的または非民主的を問わず)との間の複数の二国間またはミニラテラルな協力メカニズムの組み合わせ、さらにASEANとその拡大するパートナー諸国を含む協力メカニズムが含まれる。

本講演では、こうした新たな動向についての東南アジアの視点を提示する。まず各再編クラスターの論理と限界を分析する。次に、域内の非大国は、活動空間の縮小と不確実性の増大の時代であっても、そしてむしろそのような時代だからこそ、可能な限りヘッジングを継続する可能性が高いと論じる。講演では、IP4諸国とASEAN諸国が、必ずしも特定の大国を標的とすることなく、より強固で緊密なネットワーク型連携を構築するための現実的な「同志国プラス」アプローチを提唱する。それにより、外部からの巻き込まれや内部からの反発のリスクを軽減しつつ、収斂的、補完的、触媒的な基盤に基づく相互利益に資する強力を最大化することが可能となることが見込まれる。

講演者略歴 :
クイック・チェン−チュウィ氏は、マレーシア国民大学国 際関係学教授であり、同時にジョンズ・ホプキンス大学高 等国際関係大学院(SAIS)外交政策研究所の客員上級研究 員も務める。現在、2025 年の国際交流基金東南アジアパー トナーシップ(JFSEAP)フェロー(2025 年 9 月〜2026 年 2 月)として、京都大学東南アジア地域研究研究所にて在 外研究に従事している。クイック教授の研究は、非大国の 連携選択、アジアの安全保障、国際関係に焦点を当てている。

また研究成果は、International Affairs, Pacific Review, Chinese Journal of International Politics, Journal of Contemporary China, Contemporary Southeast Asiaなどの査読付き学術誌に掲載されている。著書として、近著にTheorizing Hedging: Explaining Shifts and Variations in Alignment Choices (Cambridge)、Rivers of Iron: Railroads and Chinese Power in Southeast Asia(California、2020 年。David M. Lampton と Selina Ho と の共著)、Institutionalizing East Asia(Routledge、2016 年。Alice D. Ba と Sueo Sudo との 共編著)がある。

クイック教授は、Contemporary Southeast Asia, Australian Journal of International Affairs, International Journal of Asian Studiesほか複数の国際学術誌の編集委 員を務めている。セント・アンドリュース大学で M.Litt.を、ジョンズ・ホプキンス大学で Ph.D.を取得している。2023 年以降、スタンフォード大学の国際関係(IR)の分野における 世界トップ 2%科学者に選出されている。

お問い合わせ : 
ssu@ifi.u-tokyo.ac.jp

主催:
東京大学東洋文化研究所
東京大学未来ビジョン研究センター安全保障研究ユニット
JSPS科研費「東アジア国際秩序の歴史的形成過程:非西洋国際関係理論と地域研究の接合」



登録種別:研究会関連
登録日時:MonOct614:12:392025
登録者 :神足・多田
掲載期間:20251007 - 20251022
当日期間:20251022 - 20251022